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日本の対中投資38%減 昨年

【北京=阿部哲也】日本企業の中国離れが加速している。中国商務省によると、日本の対中直接投資額(実行ベース)は2014年に前年比38.8%減の43億3千万ドル(約5040億円)となり、統計が比較可能な1985年以降で最大の落ち込みを記録した。日中関係の悪化に人件費の高騰などが重なり、製造業を中心に投資を絞り込む動きが広がった。

日本の対中投資が前年実績を下回るのは4.3%減った13年に続いて、2年連続だ。日中経済協会によると、下落率は天安門事件の影響で投資が急減した89年(35%減)を上回り「過去最大級」という。中国に進出する日本企業の間で、3つの悪材料が重なったためだ。

第1が日中関係の悪化だ。12年秋に沖縄県尖閣諸島の領有権を巡る対立が激しくなると、中国全土で大規模な反日デモや日本製品の不買運動が広がった。

昨年11月に日中首脳会談が実現するまで「中国リスク」への警戒感は強く、現地での事業拡大や新規進出を見送る日本企業が急増した。

一般的に実行ベースの直接投資額は、企業が取締役会などで投資の可否を決めてから6カ月~1年かかって統計数字に表れる。12年秋以降に対中投資の縮小を決めた日本企業は多く、14年になって日中間の対立の悪影響が投資額の急減という形で表れた。

第2が中国事業を取り巻く環境の激変だ。「世界の工場」として世界中の製造業の進出が相次いだ中国では、北京や上海など主要都市だけでも最低賃金が10年比で1.5倍以上に上昇した。土地の使用料など工場新設にかかるコストも上昇傾向にある。

安価な労働力に引かれて進出した日本企業の間でも戦略の見直しが相次ぐ。すでに東芝が遼寧省大連市で手がけていた薄型テレビ生産から撤退し、機能をインドネシアに集約した。製造業を中心に中国の拠点を東南アジアなどに振り向ける「チャイナ・プラス・ワン」の動きが広がる。

第3が中国政府の産業政策の変化だ。経済成長を優先した胡錦濤前政権時代までは、国内総生産(GDP)の押し上げ効果が大きい製造業の進出が歓迎され、地方政府などの外資優遇策も充実していた。

しかし習近平指導部は「産業の高度化」を旗印に掲げ、優遇分野を先端技術業種に絞り始めている。「単純なモノ作りだけでは対中投資を増やしづらくなった」(電機大手)との声は多い。

逆風は欧米やアジアの企業も同様だ。14年は全世界からの対中投資も1.7%増にとどまった。韓国や英国は2ケタ増となったが、米国からは20.6%減り、東南アジア諸国連合(ASEAN)からも23.8%減少した。

外資を対象に独占禁止法違反を相次いで摘発する動きなどもあり「公正な競争環境を整備してほしい」(欧州連合の在中国商工会議所)との懸念は強い。

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