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決算短信の簡素化容認 東証方針、17年3月期から

情報開示 後退に懸念も

東京証券取引所は上場企業の決算短信を簡素にする方針だ。投資家の投資判断を誤らせる恐れがない場合は、決算発表時に損益計算書などの財務諸表を省略して後で開示することを容認する。売上高など主な経営成績を載せた短信の1枚目は従来の「義務」から「要請」に上場規則を変える。企業の負担軽減を狙うが、投資家からは情報開示の後退を懸念する声もあがる。

28日に機関決定し、約1カ月の意見公募を経て正式に見直しを決める。2017年3月期末以降の決算短信から適用する方針だ。

決算短信は決算情報をできるだけ早く開示する速報の位置づけを鮮明にする。短信の公表段階では監査法人の監査が不要なことも明確にする。中期経営計画の進捗などをまとめた経営方針の記載も任意とする。

上場企業には短信とは別に、金融商品取引法により決算期末から3カ月以内に有価証券報告書、四半期末から45日以内に四半期報告書を公表する義務がある。そこでは財務諸表などの開示が義務づけられている。

企業の開示見直しは15年の「日本再興戦略改定」に盛り込まれ、金融庁の金融審議会が16年4月に短信の簡素化を柱とする報告書をまとめた。東証の方針はこれを踏まえた措置だ。企業と投資家との対話促進には効率的な開示が必要との観点がある。

ただ投資家からは「開示が中途半端になれば適切な投資判断ができなくなる」(BNYメロン・アセット・マネジメント・ジャパンの王子田賢史・日本株式運用部長)との声があがる。短信は売買の重要な材料だからだ。コモンズ投信の糸島孝俊運用部長は「短期志向の投資家を閉め出すことになれば、株式市場の流動性が下がる」と指摘する。

上場企業には「短信作成の事務負担は重く、簡略化を検討する」(エネルギー大手)との声も一部にある。だが多くは「投資家は短信を重視しており、簡素化は考えられない」(味の素)、「情報の公開を後退させる考えは一切ない」(日立製作所)との姿勢だ。

野村総合研究所の大崎貞和主席研究員は「投資家は開示を後退させた企業を投資対象から外すなどの対応を取るべきだ」と話す。

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