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経常黒字、リーマン前回復 昨年度20.1兆円

原油安・輸入減で

財務省が11日発表した2016年度の国際収支速報によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は20兆1990億円の黒字となり、15年度比で13.1%増えた。リーマン・ショック前の07年度以来9年ぶりの高水準で、黒字幅は過去3番目の大きさだった。アジア向け輸出が底堅かったことに加え、原油安が寄与して貿易収支の黒字幅が拡大。経常黒字全体を押し上げた。

3年連続で経常黒字額が前の年度を上回った。10年度には18兆円台だった経常黒字は東日本大震災後に急激に落ち込み、13年度には2兆円台にまで減った。震災後の原子力発電所の停止に伴い、火力発電所で使う化石燃料の輸入が急増したためだ。16年度はリーマン・ショック前の水準を回復、好調な外需を背景に日本経済が緩やかな回復基調にあることを映す。

16年度の経常黒字の増加は、貿易収支の黒字幅拡大の影響が大きい。貿易黒字額は5兆7654億円で15年度の約17倍と大幅に拡大し、震災前の水準(10年度の8兆332億円)を回復した。

原油相場の低迷や、対ドルの円相場が上昇して輸入額が減ったことが寄与した。16年度1年を見ると、原油価格は円ベースで1割超下がっている。液晶デバイスなど輸出も底堅かった。

一方、海外企業から受け取る配当金や債券の利子など企業の海外子会社の稼ぎを示す第1次所得収支の黒字額は13.7%減の18兆356億円。英国の欧州連合(EU)離脱や米トランプ政権発足前後の国際金融市場の動揺で、為替相場が円高方向に振れたことなどが響き、海外から受け取る配当金が減った。

輸送や旅行、金融といったサービス取引の収支を示すサービス収支は1兆5058億円の赤字だった。赤字額は1531億円拡大した。円高のため日本企業が海外企業とやり取りする知的財産権等使用料の収入の円換算額が目減りした。

サービス収支のうち、訪日外国人観光客の増加で旅行収支は過去最大の黒字(1兆2789億円)になった。訪日外国人観光客数は15年度より2割近く増えており、日本人が海外で使うお金より、外国人が日本で使うお金の方が多かった状況を映す。

財務省が同日発表した17年3月単月の経常収支は2兆9077億円の黒字だった。前年同月に比べ2.2%減少した。

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