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避難住民ら、原発事故「法廷で真相を」 東電強制起訴

東京電力福島第1原子力発電所事故を巡り、東電の勝俣恒久元会長(75)ら旧経営陣3人が29日、業務上過失致死傷罪で強制起訴された。多くの住民が古里を追われることになった未曽有の事故。今も避難生活を続ける福島の人たちからは「法廷で事故の真相を明らかにしてほしい」との声が相次いだ。

「原発事故に自宅も生活の糧も奪われた。東電は事故原因を法廷で明らかにする義務がある」。福島第1原発が立地する福島県大熊町で稲作を営んでいた木幡仁さん(65)は強調する。

自宅は立ち入りが原則禁止される帰還困難区域の中。古里から約90キロ離れた会津若松市の仮設住宅で今も避難生活が続く。コメの栽培を再開するメドも立たない。

事故前、東電が住民を招いて原発の視察会を開いた際、抽選で選ばれた木幡さんの妻(60)は「浸水に備えて非常用のディーゼル発電機を高台に上げるべきではないか」と発言していたという。懸念は現実のものになり発電機は津波で浸水して全電源が喪失、メルトダウンにつながった。木幡さんは「本当に事故は防げなかったのか、ずっと持ち続けてきた疑問が解消されることを期待している」と話した。

同県南相馬市の漁業者の男性(67)は、刑事責任を問われることになった旧経営陣3人に対し「福島の窮状を思い浮かべて謙虚に真実を語ってほしい」と訴える。

東電は廃炉に向け、建屋周辺の井戸「サブドレン」でくみ上げた汚染地下水を浄化して海に放出する計画を認めるよう漁業者側に求め、漁協も応じてきた。「低姿勢で謝っているのは現場の社員だけのように感じる。経営陣も誠意ある対応をみせてほしい」と話す。

一方、同県田村市の林業の男性(55)は「今更責任を問い詰めても何にもならない」と冷めた態度。シイタケなどの栽培に使うキノコの原木は同市では放射線量が出荷できる基準値を下回らず、廃業に追い込まれる同業者が相次ぐ。「福島の生活を支える対策を練ってほしい。東電にお願いするのはそれだけだ」と淡々と話した。

避難者ら約1千人が暮らす東京都江東区の国家公務員宿舎「東雲住宅」でも関係者の責任追及を望む声が聞かれた。

福島県浪江町から避難している男性(76)は「強制起訴は当然のこと。5年もかかったのが不思議なくらいだ」と語気を強める。男性の自宅は避難指示解除準備区域に指定されているが、帰るメドは立たない。「私たちは故郷を奪われた。その責任の所在を明らかにしてほしい」

同町から避難する女性(68)も「ようやくスタートラインに立った。原発は安全だという前提を問い直す裁判になってほしい」と話した。

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