2019年3月22日(金)

働き方改革

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電通社長「責任を痛感」 違法残業
検察側は「社益優先」

2017/9/22付
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「働き方改革」を巡る官民の取り組みに大きな影響を与えた電通の違法残業事件。22日の初公判に出廷した山本敏博社長は「労務環境を改善できず社長として責任を痛感している」と謝罪した。同種事件では異例の公開審理となった背景には、過去にも若手社員の過労自殺が起きていながら長時間労働の是正に本腰を入れなかった同社に対する厳しい視線がある。

東京簡裁に入る電通の山本社長(22日午前、東京・霞が関)

東京簡裁に入る電通の山本社長(22日午前、東京・霞が関)

午前11時前に始まった初公判。傍聴席の最前列では2015年12月に過労自殺した新入社員、高橋まつりさん(当時24)の母、幸美さん(54)が厳しい視線で審理を見守った。

黒っぽいスーツ姿の山本社長は緊張した面持ち。幸美さんに一礼してから証言台に立ち「間違いありません」と起訴内容を認めた。

検察側は論告で「社益を優先して労働者の心身の健康を顧みない被告会社の姿勢が引き起こした犯行」と厳しく批判。「各労働者が被った精神的、肉体的疲弊は想像に難くなく、そのうち1人は自殺に至っており、労働者に及ぼした影響も大きい」と指摘した。

山本社長は「労働時間に関する是正勧告を複数回受けていたにもかかわらず根本的な解決を図れず、深く反省する」と謝罪。事件の背景として「仕事に時間をかけることがサービス品質の向上につながるとの思い込みがあった」と説明した。

電通では1991年にも入社2年目の男性社員(当時24)が過労自殺した。男性社員の遺族が起こした訴訟の和解条項に、同社は「事件を深く反省し、今後労務管理の徹底と健康管理の充実をより一層行う」と盛り込んだ。

しかし、長時間労働は続き、労働基準監督署は高橋さんが自殺する直前の15年8月、東京本社に労働基準法違反で是正勧告していた。

昨年11月に厚生労働省の強制捜査を受け、厳しい批判にさらされた同社。19年度までに従業員1人当たりの総労働時間を14年度比で2割削減し、残業をほぼゼロにすることを柱とする労働環境改革基本計画を今年7月に発表。採用増やロボットによる業務自動化などで業務負荷を減らすという。

事件をきっかけに多くの企業が労務管理の見直しを進める中、同社の取り組みの成否に注目が集まる。

この日は18枚の傍聴券に対し、584人の傍聴希望者が列をつくった。埼玉県羽生市の介護職の男性(35)は「自分の職場も長時間労働が常態化している。企業は若者が亡くなった事実を重く受け止め、改善してほしい」と求めた。

さいたま市の女子大学生(20)は「栄養士として働く姉が仕事が理由でうつ病になったことがあり、今回の裁判に注目していた。電通がこれからどう働き方を改善していくのか、社長の口から聞きたい」と訴えた。

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