トランプ政権

フォローする


トランプ大統領、誕生 就任式ライブ(ビジュアルデータ)はこちら

米、3%成長へ投資促進 法人税率下げ 財政は悪化懸念

2017/9/28付
保存
共有
印刷
その他

【ワシントン=河浪武史】トランプ米政権と与党・共和党がめざす約30年ぶりの大型減税は、米経済の成長底上げの起爆剤として期待される。米企業に国内投資を促し、経済成長率を3%に高めるのが政権の最終目標だ。ただ財政悪化の懸念は強く、個人税制は富裕層優遇との指摘もある。政権は年内実現をめざすが、議会審議が円滑に進むかどうかは不透明だ。

「米国に企業と雇用を取り戻す」。トランプ氏は大統領選でレーガン政権以来となる大型減税を掲げ、番狂わせの勝利につなげた。税制改革は政権の成長戦略の柱だ。

企業税制の最大の目玉は税率の引き下げ。与野党の対立で「決められない政治」が続いた米国は、連邦法人税率が35%と主要国で最も高い。それを一気に20%まで下げて企業の税負担を軽減。「雇用拡大や賃金引き上げにつなげる」(ライアン下院議長)という。米の大減税は、国際的な税率引き下げ競争に再び火を付ける可能性がある。

今回の改革案を協議したのはムニューシン財務長官やライアン下院議長ら政権・議会の幹部6人。議会指導部は法人税率下げの落としどころを20%台前半とみていたが、トランプ氏は選挙公約の15%に固執。健全財政をこだわってきた上院側が土壇場で10年で1.5兆ドル(約169兆円)の財政赤字拡大を容認し、最後は20%で決着した。

もう一つの大型改革は課税方式の変更だ。米の税制は企業が海外で稼いだ利益にも税を課す「全世界所得課税方式」。米企業は海外子会社から配当を受ける際に35%の高税率がかかるため、海外に資金をため込み戻さない弊害があった。

改革案ではこの配当への課税を原則なくす。企業の海外留保資金はアップルだけで2千億ドル。米企業全体で2.5兆ドルに上る資金が米国に戻れば、設備投資や企業買収が活発になる。

実際、時限立法で還流資金の税率を下げた2005年は、海外からの資金還流が前年比3.7倍に増えた。

懸念は財政の悪化だ。連邦政府債務は20兆ドルに達し、国内総生産(GDP)比106%(16年)まで膨らんだ。トランプ氏の当初案は10年で4兆~6兆ドルの税収減と試算され、今回の案でも財政悪化は避けられない。

トランプ政権は「経済成長率が3%に高まれば、10年で2兆ドルの税収増が見込める」(ムニューシン財務長官)と主張するが、米国の潜在成長率は1.8%にとどまる。成長率を3%に高めるには、技術革新を起こして抜本的に生産性を引き上げる必要がある。政策当局者の一人は「壮大な社会実験」とすら語る。

政権と議会共和党は10月に下院、11月には上院を通過させ年内に税制改革法案を成立させる算段だ。ただ12月には暫定予算の期限が切れ、新予算が成立しなければ政府閉鎖のリスクが浮上する。

議会運営には野党・民主党の協力が必要だが、税制改革案は個人所得税の最高税率の引き下げを盛っており、民主党から「富裕層優遇」との批判を浴びそうだ。

与党・共和党も一枚岩ではない。医療保険制度改革法(オバマケア)の見直しは26日、またも共和党内の離反者が相次いで上院での採決を断念。税制改革も積極減税派と財政健全派に議論が真っ二つに割れる恐れがある。

大型減税に執念をみせるトランプ氏。政権運営の真価が再び問われる。

トランプ政権をMyニュースでまとめ読み
フォローする

日経電子版が最長2月末まで無料!
初割は1/24締切!無料期間中の解約OK!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ

電子版トップ特集トップ