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FRB、資産縮小9月も視野 脱危機対応へ

米、0.25%追加利上げ

【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)は14日、3カ月ぶりの利上げを決めた。利上げ幅は0.25%。量的緩和で膨らんだ保有資産の縮小にも着手すると表明した。イエレン議長は9月に資産縮小を開始する可能性も示唆。2008年の金融危機対応から完全に脱却することをめざす。ただ、米景気は物価停滞などの不安を抱え、引き締めシナリオは曲折が続きそうだ。

 「経済の改善が想定通りに進めば、比較的早く実行するだろう」

イエレン氏は資産縮小の開始時期を問われ、こう語った。14日に公表した米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明では「年内に着手する」と記したが、記者会見ではさらに踏み込んだ。

「比較的早く」という言い回しは、昨年12月の利上げ直前にも使われたFRBの定番文句だ。市場は資産縮小の開始を早くて今年12月とみていたが、JPモルガン・チェースは14日、9月へと予測を前倒しした。次回7月のFOMCは議長の記者会見を予定しておらず、政策変更は9月か12月が有力。ゴールドマン・サックスも9月の会合で資産縮小の開始を決めると予測する。

 「この計画は市場の負荷を避ける狙いがある。ペンキが乾くように、静かに進めていく」

イエレン氏は資産縮小を極めてゆっくり進めると力説した。脳裏には13年の苦い経験がある。バーナンキ議長(当時)が具体計画を示さず量的緩和縮小に言及したところ、世界市場は株安・債券安の大混乱に陥った。

FRBは08年のリーマン・ショック後、量的金融緩和で米国債などを大量に買い上げ、資産規模を9000億ドルから4兆5千億ドルまで膨らませた。量的緩和終了後の現在も、保有債券が満期を迎えても同額を再投資することで資産規模を維持してきたが、縮小に転じれば市場には引き締め圧力が生じるリスクがある。

とりわけ18年に満期を迎える米国債は4千億ドル規模と巨額だ。17会計年度(16年10月~17年9月)の財政赤字見通しの7割にも相当し、再投資を一度にやめれば市場への影響は甚大だった。

ただ、14日公表した資産縮小計画で、米国債は開始時の縮小額を月60億ドルにとどめるとした。資産規模も金融危機前の9000億ドルではなく「2.5兆~3兆ドル程度への減額にとどめる」(パウエル理事)との案が浮かぶ。量的緩和では長期金利が約1%低下する効果があったとされるが、FRBの計画通りに進めば、金利が反転上昇する圧力はごくわずかにとどまりそうだ。

 「任期を全うする。大統領とは将来について議論したことはない」

イエレン氏は来年2月に任期切れを迎え、トランプ政権下での再任は微妙だ。イエレン氏が繰り返す「金融政策の正常化」は議長在任中の悲願といえる。FRBが巨額の保有資産を抱え続ければ、金利上昇時に含み損を抱えるリスクが強まる。中央銀行という巨大なプレーヤーの影響力を薄めて、自律的な市場機能を取り戻す狙いもある。

ただ、物価上昇率は目標の2%に届かず、引き締めシナリオの大きな壁となる。イエレン氏は「雇用の拡大が続いて物価上昇圧力も強まる」と強気だが、その経路となる賃金上昇率はなかなか高まらない。好調が続いた米景気も新車販売は5カ月続けて前年割れで、息切れ感がにじみ始めた。

トランプ政権下で今年2回目の利上げを決めたイエレンFRB。市場の動揺を抑えて資産縮小に着手できれば、イエレン氏の再任論につながる可能性もある。

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