2019年2月23日(土)

次世代の移動通信技術の開発に注力を

2014/10/24付
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通信速度が現在の100倍になる次世代の移動通信技術の開発が始まった。第5世代(5G)の技術と呼ばれ、機械や装置をつなぐ手段として期待が高い。日本は携帯市場で外国勢に押されているだけに、積極的に取り組みたい。

次世代技術はデータ通信速度が毎秒10ギガ(1ギガは10億)ビットと、光ファイバー網の100倍。一つの基地局で今の100倍の端末を処理できる。消費電力も半分から3分の1となり、産業分野など様々な用途が見込まれている。

特に信号が届くまでの遅延時間が10分の1に短縮されるため、センサー情報などの伝達に向く。身に着けるウエアラブル端末や自動車、ロボット、産業機械など、日本が得意とする製造分野を強化する新しい通信技術となる。

次世代技術の標準化は国際電気通信連合(ITU)が中心となり、今年秋にも具体的な技術仕様が固まる見通しだ。2020年の実用化を目指しており、日本としても標準化活動に積極的に参加していく必要があるだろう。

20年には日本で東京五輪が開催される。総務省はそれまでに4Kや8Kの高精細放送を商用化する計画だ。ただ、映像の注文配信や有料課金は放送より通信の方が対応しやすい。第5世代技術を上手に使えば、世界初の高精細映像の無線配信も可能になるだろう。

韓国は18年に平昌で冬季五輪が開かれるため、2年前倒しで第5世代サービスの試験導入を検討している。世界が注目する五輪の場で技術力を示すには、日本も今から開発に着手すべきだ。

現時点ではノキアやエリクソンなど北欧メーカーが先行し、通信分野で世界を狙う韓国や中国がその後を追っている。日本も総務省を中心に外資系企業を交えた産官学からなる推進組織を先月立ち上げた。グローバル市場をにらんだ開発を進めてほしい。

次世代技術の実用化には新たな周波数の手当ても要る。総務省は携帯電話などに使う周波数を20年までに3倍に増やす計画だ。それには行政が使用している周波数も含め、利用効率の低い電波を洗い出し、新たな用途に振り向けられる政策の導入が欠かせない。

日本はかつて第3世代(3G)技術ではインターネット接続などで世界をリードした。日本の情報通信産業が再び国際競争力を取り戻すためにも、第5世代技術への取り組みに力を注ぐべきだ。

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