2019年2月17日(日)

農家による農家のための農協に戻れ

2014/10/23付
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政府は農業協同組合のあり方を抜本的に見直すため、農協法の改正案を来年の通常国会に提出する方針だ。農協自らも改革策のとりまとめに着手した。現在の農協は1947年の制度導入時にめざした姿と大きく異なる。農家が自主的に設立し、所得向上に役立てる農協の原点に戻るべきだ。

農協法の改正案は6月に政府・与党でまとめた改革案が土台になる。基本的な考え方は、地域ごとの単位農協の活動を自由にし、組合員である農家とともに競争力を高めることにある。

その意味で、全国農協中央会(JA全中)が単位農協を指導・監査する権限はなくすべきだ。全中の権限は、農協の経営不振が相次いだ時期に導入された。その後、単位農協は統合が進み、信用(銀行)事業については上部組織の農林中央金庫が指導する体制もできている。全中の権限は必要ない。

政府・与党の改革案が促す全国農協連合会(JA全農)の株式会社化は、単位農協が株主となり、農家に役立つ事業運営ができているかをチェックする狙いだ。

現状のように、全農自身のリスクを軽減するためにコメ農家に支払う概算金(仮渡し金)を大幅に下げ、農家の不安を高めるようでは困る。農協制度の目的を踏まえれば自らの改革で実現すべきだ。

農家の協同組合であるはずなのに農家以外の「准組合員」が過半を占める状態も制度目的に照らしておかしい。是正すべきだ。

准組合員の増加は農協が組織を維持するため信用、共済(保険)事業を拡大したからだ。農家による農家のための組織であるからこそ農協には銀行、保険業務の兼営など「特権」が認められている。金融事業を一般顧客に拡大する現状は、他の金融機関と比べた公平性からも問題がある。

政府は単位農協の信用事業を農林中金などへ譲渡させ、単位農協は本来の事業に専念してもらう考えだ。しかし、規制改革会議の作業部会が提言した准組合員の事業利用についての具体的な歯止めは当面かけない方針。農協の信用事業などを利用するだけで議決権を持たない准組合員の位置づけも、曖昧なままだ。

政府・与党はこれまで長い間、農協の実態が制度目的から大きくずれていることを認識しながら放置してきた。農家だけでなく、消費者である国民が納得できる農協の姿を実現してもらいたい。

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