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閣僚辞任の打撃は政策で挽回せよ

「政治とカネ」。この使い古されたことばをまた耳にするのか。2閣僚の辞任にそんな思いを抱いた国民は少なくあるまい。安倍晋三首相に打撃なのは言うまでもないが、それで済むだろうか。日本の政治はこの程度なのかという不信感が広がることがこわい。

政治資金収支報告書によれば、小渕優子前経済産業相の後援会が2010年と11年に実施した観劇会の支出が収入を大幅に上回っていた。差額を後援会が補填したならば、自身の選挙区の有権者への寄付に当たる。公職選挙法に違反する疑いがある。

資金の出口も改革を

12年に催した観劇会の収支は記載もされていなかった。こちらは政治資金規正法に抵触する可能性が高い。これらの疑問にわかりやすく答えられないからには、閣僚を辞めるのは当然である。

小渕氏は弁護士ら第三者の手でなぜ辻つまが合わないのかを調査させると表明した。閣僚を辞めさえすれば一件落着ではない。第三者による調査でも、なお資金の流れが解明できないならば、国会議員の辞任を含め、さらなるみそぎをしてもらわねばならない。

政治活動にかかわる贈答品などを主に親族が経営する企業に発注していた件は、直ちに違法かどうかが判然としない。とはいえ、国のリーダーたらんとする者は、疑念を持たれそうな言動はあらかじめ慎むのが筋である。

松島みどり前法相は自身の似顔絵などを印刷したうちわ状のものを選挙区内で配った。うちわであれば、こちらも有権者への寄付に当たる疑いがある。

文章も書いてあることから、松島氏は「(公選法で認められた)討議資料だ」と反論した。だが、柄がついており、外見はうちわにしかみえない。

法律の番人である法相が法の抜け穴のような話をしたことに違和感を禁じ得ない。閣僚たる資質にはじめから欠けていたとしか言いようがない。

うちわの配布が合法か違法かは今後のあらゆる選挙の戦い方に大きく影響する。閣僚辞任で幕切れとならないように、公選法違反かどうかを調べるべきだ。

政治資金を巡る不祥事は以前は公共事業の受注と引き換えに裏金を受け取るなど「入り」の問題が多かった。不明朗なカネに手を出す政治家が減ったのは、政党助成制度を導入した効果だろう。

なくならないのが、政治資金を何に使うかという「出口」の不祥事である。昔ながらのどんぶり勘定で平気な政治家は多い。選挙民への利益供与や公私混同が疑われる物品購入はあってはならない。

第1次安倍内閣以降、不祥事や失言で辞める閣僚が後を絶たず、1年ごとの首相交代を招いた。もううんざりだが、少々の不祥事に目くじらを立てるな、という雰囲気が政界にあることは遺憾だ。信頼に値しない政治家に国家の大事を委ねるわけにはいかない。

第2次安倍内閣は発足から戦後最長の617日も閣僚交代がなかった。内閣改造後はごたごたが相次ぐのはどうしたことだろうか。

急な人事だったのではない。疑念を持たれそうな言動がないかどうかを調べる時間はたっぷりあったはずだ。安倍首相の任命責任は重大である。1強多弱などとおだてられ、たかをくくっていたのか。猛省すべきだ。

女性活躍は滞らせるな

これをきっかけに安倍政権は第1次内閣のときと同じく坂道を転げ落ちるのか。世間は注目している。首相は閣僚が次々と火だるまになる辞任ドミノは避けたいだろうが、改めて厳しく点検し、国民の信頼回復に努めねばならない。 後任の閣僚の責任も重大だ。もう失敗は許されない。

アベノミクスへの期待感などに支えられ、第2次安倍内閣は高い支持率を維持してきた。ただ、背景には民主党政権への失望感という上げ底があったことは、もう一度思い出してもらいたい。

改造内閣の目玉だった女性閣僚がつまずいたことで、女性閣僚5人は多すぎたとの見方もあると聞く。不祥事に足をとられ、看板政策の「女性が活躍する社会の実現」が足踏みしては本末転倒だ。

進めるべき政策を着実に実現する。それ以外に閣僚辞任の打撃を挽回する方法はない。首相は一刻も早く政権のタガを締め直さねばならない。

勢いづく野党にひとこと言っておきたい。今回の閣僚辞任は敵失であり、野党に手柄があるのではない。疑惑はどんどん追及すべきだが、無関係な国会審議まで滞らせてはならない。

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