春秋

2014/10/8付
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空港での自動小銃乱射、ハイジャック、大使館占拠……。1970年代を中心に世界中でまがまがしい事件を続発させたテロ組織といえば日本赤軍である。国内で活動していた赤軍派メンバーらがひそかに出国、パレスチナゲリラと手を結び国際社会を震え上がらせた。

▼海外の戦場に「革命の根拠地」を――というのが彼らの理屈で、ようするに押しかけ部隊である。使命感に酔ってか、辛亥革命を支援した宮崎滔天を気取るメンバーもいたらしい。無法はやがて行きづまり、あの時代はすっかり遠ざかったのだが、目下の「イスラム国」をめぐる出来事は新たな脅威を見せつけてやまない。

▼「勤務地シリア 詳細は店番まで」。東京都内の古書店に張り出されていた、まるでアルバイト募集のような軽いノリのチラシが「イスラム国」への入り口だったという。こんな誘いに乗せられて戦闘員への参加を企てていた北海道大学の学生を警視庁が突きとめ、関係先の捜索などに乗り出した。出国寸前の摘発である。

▼日本赤軍などと違い、休学中のこの青年にさしたる思想性はなかったようだ。しかし「イスラム国」はいま世界中で、そういう「退屈な若者たち」をこそ狙っているに違いない。警視庁は今回の事件に刑法の私戦予備・陰謀罪を初めて適用した。耳にしたことのない物々しい罪名の登場に、往時とはまた異質の危機を知る。

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