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光の革命を起こした日本人のノーベル賞

何年も前から有力候補とされていただけに、満を持しての受賞といえるだろう。今年のノーベル物理学賞を赤崎勇・名城大学教授、天野浩・名古屋大学教授、中村修二・米カリフォルニア大学教授の3人が受けることが決まった。

授賞理由は「青色発光ダイオード(LED)の発明」。照明や映像機器でいまや不可欠になった、青色に輝くLEDを考案し、実用化した業績である。

日本人が物理学賞を受けるのは2008年の益川敏英氏、小林誠氏以来6年ぶり。米国籍の南部陽一郎博士を含め、これで受賞者は10人になった。これまでは素粒子分野が多かったが、半導体分野での今回の受賞は、日本の物理学の水準の高さを示している。

赤崎氏らの成果は産業や日常生活を大きく変えた。LEDは赤色の光を出す製品が1960年代に、その後、緑色が開発された。だが青色だけは開発が遅れ、一時は実現不可能ともいわれた。

その壁を破ったのが80年代末の赤崎氏らの成果だ。素子の原料を工夫し、鮮やかな青色の光を出すことに成功した。中村氏はこれを工夫して、安定して光を出し続ける素子をつくり、当時在籍していた日亜化学工業が量産化した。

赤、緑、青の「光の三原色」がそろい、あらゆる色をつくれるようになり、照明、テレビ、携帯電話のディスプレーなどへの応用に道を開いた。日本企業がいち早く量産を始め、デジタル時代の幕開けに大きく貢献した。

日本の家電メーカーはかつての勢いを失い、韓国勢などに地位を譲りつつある。だがLEDは省エネルギーであることなど多くの利点をもつ。日本企業は今回の受賞を誇りとし、新たな製品づくりにさらに力を入れてほしい。

一方で心配なこともある。足元では主要学術誌に載った論文数や特許などで、日本の研究力は地盤沈下している。博士号を取った研究者の雇用が不安定で、海外で武者修行する若手も減っている。

赤崎氏は受賞決定を受けた記者会見で「研究者は、はやりの研究だけにとらわれずに、自分がやりたい研究をしてほしい」と訴えた。とくに若い研究者は、この言葉を励みにしてほしい。

青色LEDのように新たな産業を生み出す研究を、日本でいかに生み、育てていくか。今回の受賞を機に、独創的な研究を生み出す風土づくりを改めて考えたい。

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