グローバル化が崩す年功制

2014/10/5 3:30
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日立製作所が国内の管理職約1万1千人について、賃金から年功要素をなくす改革に踏み切った。仕事の役割と成果をもとに、世界共通の評価基準で報酬を決める方式に改めた。代表的な日本企業の年功廃止は日本型雇用が抜本的な見直しを迫られている表れだ。

賃金を若手や中堅のときには抑え、その後手厚くする年功制は日本の長期雇用慣行を支え、社員の会社への帰属意識を高めてきた。

半面、報酬が勤続年数に応じて決まる仕組みでは、外部から優秀な人材を採ろうとしても敬遠されがちだ。生え抜きで固めた同質で硬直的な組織になりやすい。

グローバル化や技術革新が進む中で企業が競争力を高めるには、異質な経験や斬新な発想を持った多様な人材を取り込む必要がある。年功制の見直しは避けて通れない。日立の賃金改革の主眼も専門性を備えた中途入社者や外国人を採りやすくすることにある。

ものづくりの現場などでは、若手社員らが経験年数を積んで技能を高めるのに伴い、賃金も上がる年功制は合理的だ。だがホワイトカラーの場合、年功制では本人が生み出す付加価値が賃金を下回るという問題が起こりやすい。

働く人1人あたりの付加価値額を示す労働生産性をみると、2012年に日本は経済協力開発機構(OECD)加盟の34カ国中、21位と下位にある。社員の生産性向上への意識を高めるためにも年功賃金の思い切った改革が要る。

バブル崩壊後、日本企業は実力主義賃金への改革に取り組んできたが、まだ中途半端だ。ソニーは来年度にも全社員を対象に、年功を除き職務や成果で賃金を決める制度に切り替える。産業界全体が賃金改革を強力に進めてほしい。

米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)などは、どの職務にはいくら報酬を支払うかという世界共通の基準がある。日立も同様の制度を設けた。国境を越えて人材を移しやすい。こうしたグローバル化に対応した工夫も企業は積極的に取り入れるべきだ。

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