2018年9月24日(月)

調査捕鯨の強行を懸念する

2014/9/24付
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 国際捕鯨委員会(IWC)総会は、ニュージーランドが提出した調査捕鯨の計画評価などを厳しくする案を賛成多数で可決した。決議は調査捕鯨計画について2年に一度開く総会で検討することを求めており、日本の調査捕鯨再開は早くて2016年になる。

 政府はこの決議には法的拘束力はないとして、予定通り15年度から南極海での調査捕鯨を規模を縮小したうえで再開する方針だ。

 ニュージーランドの提案は日本の調査捕鯨の再開を先延ばしする狙いがある。その手法に納得しにくい面はあるが、国際会議での合意事項だ。おかしな部分があればまずはそれを各国に訴え、賛同を得るのが筋ではないだろうか。

 南極海での日本の調査捕鯨が国際捕鯨取り締まり条約に違反するとして、国際司法裁判所は3月末に中止を命じた。実際の捕獲枠が設定した捕獲枠を大幅に下回ることなどを指摘し、科学調査目的とはいえないと断じた。

 今日まで、政府は各国に調査の妥当性を十分に説明してきただろうか。補助金で赤字を補填し、調査捕鯨の事業を継続するのであれば国民への説明も要る。

 捕鯨に対する国際世論は年々厳しさを増している。日本が決議を無視して調査捕鯨を強行すれば、国際世論は合意に反するとして反発を強め、捕鯨に対する理解はますます得にくくなる。

 1960年代に年20万トン以上あった国内の鯨肉消費量は、いまや5千トンに満たない。豚肉や牛肉などが手ごろな価格で供給されるようになったからだ。たとえ本格的に捕鯨を再開できたとしても、年600万トン近い食肉供給の中でどれだけ需要があるだろうか。

 捕鯨問題は、地域に残る食文化をどう維持するかを考えるべきだ。国内沿岸の捕鯨は、IWCの管轄対象から外れるツチクジラなどに頼らざるをえない。今回の総会で日本が求めた三陸沖などでのミンククジラの捕獲枠(計17頭)は否決された。戦略を間違えれば地域文化も衰退してしまう。

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