スコットランドの投票が促す英国の変化

2014/9/20付
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英北部のスコットランドで英国からの独立を問う住民投票が実施され、反対する票が賛成票を上回った。経済規模の約1割、国土の約3割を占めるスコットランドは、英国のなかに引き続きとどまることとなった。

世界中が投票を見守った。独立が経済に与える影響などに懸念を抱いたからだ。正式には「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」という英国の政府は、すみやかにスコットランドとの関係を再構築し、連合王国の新しい姿を示す必要がある。

1707年にイングランドと統合したスコットランドは、1960年代以降の北海油田の開発をきっかけに独立機運を高めた。労働党のブレア政権下で独自議会が復活した。2012年には、保守党のキャメロン首相がスコットランド行政府のサモンド首相と住民投票の実施で合意した。

今回の投票はその合意に基づく。一時は世論調査で独立賛成派が反対派を上回った。背景には格差問題や国営医療制度見直しへの不満があるとされた。独立運動を主導するスコットランド民族党は福祉国家の樹立を掲げ、住民の不満をすくいあげた。

一方で、独立後の通貨や欧州連合(EU)への加盟、主要な財源となる北海油田からの収入見通しなど、曖昧な点も多かった。最終的に独立が否決されたのは、独立後の経済運営への不安が反映されたとみることができる。

投票の直前には、英政府も社会保障の充実や自治権拡大といった政策をスコットランド住民に約束した。独立への反対を促すための妥協策だったといえる。

独立は否決されたとはいえ、英国の政治経済体制は変わらざるをえないだろう。イングランド中心の体制から、連合王国を構成する各地域の利害をこれまで以上に尊重する分権型への、変化だ。

独立問題を抱える国・地域は多い。スペインのカタルーニャ自治州では独立を問う住民投票を求めてデモが起きた。スコットランドの投票がそうした運動に勢いをもたらす、との指摘はある。

だとしても、独立運動が偏狭なナショナリズムに陥ってはならないことを改めて印象づけた面もある。異なる考えの人たちと共生し、徹底した議論で現実的な解決を探る。そんな成熟した民主主義のありようも、スコットランドの住民投票は世界に示した。

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