/

春秋

数ある中国の歴史書のなかで、11世紀に北宋で完成した「資治通鑑(しじつがん)」は評価が高いもののひとつだ。歴史の記述方法としては、帝王や臣下の業績を中心にまとめる紀伝体が定着していた。これに対して編さん者の司馬光は、年月の順を追って史実を記す編年体を採った。

▼古代から世の中はどのようにして乱れては治まってきたのか。歴史に学ぼうとしない風潮を憂えた司馬光は、政治はどうあるべきか、事実を示して考えさせようとしたという。公表された「昭和天皇実録」も編年体で書かれている。私たちは何を学べるだろうか。たとえば1931年9月に勃発した満州事変をみてみよう。

▼日中両軍が衝突したとの報が入ってから、天皇は若槻礼次郎首相らに再三にわたり、事態が拡大しないよう努力を求めた。だが陸軍の動きは止まらず、戦線は広がるばかり。後に天皇は満州事変で、戦争がなかなか途中でやめられぬことを知ったと語っている。始まったら戦争の制御は容易でない。私たちにとって教訓だ。

▼昭和天皇実録にはマッカーサーとの会見内容が物足りないという声や、他の文献に出ている肝心な事実が抜けているとの指摘がある。昭和の時代から教訓をつかみ取るには、この大部の資料だけに寄りかからない態度もいるようだ。資治通鑑は文字通り、為政上の「鑑(かがみ)」とたたえられた。実録はどんな評価を得るだろうか。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン