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途上国の医療に日本の知恵を

途上国の保健医療水準の向上が思うように進まず、まだ多くの人が病気で苦しみ、亡くなっている。日本は公衆衛生の確立や、すべての国民が公的な医療保険制度に入る皆保険の実現などで世界トップレベルの長寿国をつくり上げてきた。その実績を基に途上国への支援をより一層充実させたい。

国連は2000年に世界的な貧困撲滅などを目指す「ミレニアム開発目標」を策定した。この目標の大きな部分を占めるのが保健医療分野だ。15年までに、5歳未満の子供の死亡率と妊産婦の死亡率を1990年比でそれぞれ3分の1、4分の1に削減するなどとした。しかし、期限を目前にして達成が難しい目標も多い。

これらの課題をめぐって日本への世界の期待は高い。「すべての人が保健医療サービスを受けることができ、その支払いのために経済危機に陥らない」ことを「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」(UHC)と呼ぶ。途上国でUHCの確立が大きな政策目標となるが、UHCは日本の皆保険そのものでもある。

安倍晋三首相は昨年、英国の世界的な医学雑誌「ランセット」に寄稿し、「世界の国々と共にUHCを達成するため、日本の開発援助を強化する」と表明した。

しかし政府開発援助(ODA)予算は財政難からピーク時に比べ半減しており、その中での保健医療分野の比率も小さい。ODAの中身を見直すことなどによってこの分野の拡充を進めたい。

お金をかければよいというものでもない。例えばミャンマーでは、日本の母子保健推進員にあたる住民ボランティアが妊産婦の家を訪問して面倒を見るシステムを導入し、妊産婦の健康状態改善に成果を上げている。日本の経験と知恵は大きな費用をかけずに活用できる余地がある。

アベノミクスの流れの中で日本の経済成長に資する医療輸出が話題となっているが、途上国の人々の命を救うための支援・協力という視点も忘れたくはない。

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