2019年3月26日(火)

春秋

2014/8/12付
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広島原爆忌の6日が過ぎ、長崎の惨禍を心に刻む9日を経て、今年もまもなく15日が巡ってくる。8月――。あの8月をかえりみるとき、鎮魂の思いを深くさせる日付だ。けれど昭和20年夏はそれだけではない。69年前の今ごろの一日一日は日本の運命を決していった。

▼たとえばきょう12日は、ポツダム宣言受諾交渉のなかで連合国側の回答が伝えられた日である。文中には「天皇および日本国政府の国家統治の権限は、連合国軍最高司令官にsubject toする」とあった。外務省はこれを「制限の下に置かるる」と意訳したが軍部は憤激した。ずばり「隷属する」と受け止めて身構えたのだ。

▼それぞれに譲れぬsubject to論争ではあったろうが、そうしているうちにもたくさんの人が落命したことを忘れてはならない。13日に長野市、14日に大阪市や山口県岩国市、光市、そして15日未明まで埼玉県熊谷市や秋田市の土崎港周辺には爆弾が降り注いだ。戦争は終わらせるのがいかに難しいものかを知るのである。

▼ポツダム宣言をめぐっては、そもそも7月末にこれを突きつけられて戦争指導者たちは黙殺を決め込んだ。新聞は「笑止!」などと強がった。ところが連合国側は「拒絶」と解釈し、あの8月の悪夢がもたらされたのだ。土壇場まで世界に背を向け、悲劇を積み重ねていった昭和20年夏。その一日一日が痛恨の日付である。

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