南ア株、通貨安背景に上昇 資源価格回復も追い風
世界株番付
南アフリカ株の上昇基調が続いている。主要40社で構成する代表的な株価指数「FTSE/JSE アフリカトップ40」は2012年8月に過去最高値を更新して以降、上昇の勢いが止まらない。通貨ランドの下落基調が続き、ロンドン市場と重複上場する大手企業のランド建て株価に上昇圧力が強まっている。資源価格の回復も追い風だ。

ヨハネスブルク証券取引所では豪英BHPビリトンや英アングロ・アメリカンといった資源大手のほか、ビール大手のSABミラーやたばこ大手のブリティッシュ・アメリカン・タバコなどのグローバル企業が時価総額上位を占め、株価指数への影響力が大きい。
中国景気の急減速が避けられたとの見方を背景に資源株は回復基調だ。シティグループの新興国担当ストラテジスト、リチャード・シェルバッハ氏は「鉄鉱石を除けば、今後数年間は商品価格の上昇が期待できる」と説明。南ア株のなかでも資源株が有望とみる。プラチナ鉱山の賃上げストライキが6月下旬に終了し、最悪期は過ぎたとの見方も多い。
南ア企業で最大の時価総額のメディア大手、ナスパーズの株価の動きに左右されやすい面もある。同社は中国のネット企業、騰訊控股(テンセント)の大株主。ナスパーズの時価総額のうち、9割以上がテンセントの貢献という構造で、市場のかく乱要因だ。

南ア経済自体はプラチナ生産の落ち込みなどで、1~3月期に約5年ぶりにマイナス成長に転落。今後も低成長が続く見通し。ただ南ア株と内需景気の連動性は高くなく、新興国景気や世界の資源需要の動向に左右されそうだ。
(ロンドン=黄田和宏)
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先週(7月28日~8月1日)の世界の株式市場ではドイツ株の下落率がトップだった。ユーロ圏の消費者物価指数が低調で欧州のデフレ懸念が強まり、ウクライナ情勢を巡る欧州とロシアの対立も株安につながった。

[日本経済新聞夕刊8月4日付]