2019年3月26日(火)

春秋

2014/7/31付
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「駅15分、3LDK、築浅」。不動産屋の店頭の貼り紙に、よくこういうのがある。売り物はとにかく「築浅」だ。チクアサ、つまり建築年数が浅い物件を指す業界用語が、いつしか客を誘う惹句(じゃっく)になった。新築とはうたえない場合でも新築並みをアピールするわけだ。

▼戸建てであれマンションであれ、そんな具合に日本人の「新しい家」志向は抜きがたい。だから中古住宅となるとひどく魅力が減じることになっていて、築20年を超えた木造の家を査定してもらうと資産価値はゼロ、などという評価が待つ。その一方で新築物件がどんどん供給され、気がつけば空き家だらけの列島である。

▼総務省の調査では、住宅総数に占める空き家の割合は昨年10月時点で13.5%と過去最高になったそうだ。戸数も最多の820万戸にのぼる。人口減と高齢化は空き家の増加に拍車をかけ、放っておいたらまだまだ増えるという。住宅街のそこここで朽ちていく、人の住まぬ家はやがて街そのものを蝕(むしば)んでいくに違いない。

▼「駅10分、土地35坪、上物あり」。不動産屋の店頭にはこんな貼り紙もある。ウワモノとは何かと問えばれっきとした家だという。こうした感覚が中古住宅を敬遠させるのだろう。それにこの手の上物、そこに残っているだけで土地の固定資産税を安くする。空き家に住み着いているのは時代に合わぬ制度でもあるらしい。

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