こじれた中間貯蔵施設への不信を拭え

2014/7/31付
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石原伸晃環境相が「金目の問題」と失言してこじれた問題をこれで修復できるのか。東京電力福島第1原子力発電所事故の除染で生じる汚染土を保管する中間貯蔵施設について、政府は候補地の福島県と地元2町に新たな案を示した。

中間貯蔵施設は同県内の除染で生じる汚染土を集め、最長30年間、保管する施設だ。政府は大熊町と双葉町に候補地を絞り、当初は用地を国がすべて買い上げて施設をつくる計画だった。

新たな案では全面国有化は断念し、住民が希望すれば国が土地を借り上げる選択肢を加えた。土地の所有権は地権者に残したまま国が地上権を得て使用契約を結び、施設をつくる。売却する住民も、将来地元に戻る意思があれば住民票を残せるようにする。

これらの案自体は妥当だろう。国が用地を買い上げる方式には「先祖伝来の土地を失うことになる」と抵抗感を示す住民が少なくない。除染が完了した後に帰還を望む住民もおり、新たな案はそうした声に応えたものといえる。

政府はこれらの案を地元に丁寧に説明し、理解を得られるよう全力を挙げるべきだ。石原環境相もあらためて地元を行脚して不信を拭う覚悟がいる。

福島県内の除染で生じる汚染土は東京ドーム18杯分にのぼる。「原発事故の被害を受けたうえに迷惑施設も引き受けるのか」と地元が反発するのは無理もない。だが遅れている除染を進め、福島の復興に道筋をつけるには中間貯蔵施設は欠かせない。

施設の建設にはなお課題が山積する。土地を国に売ったり貸したりした住民が別の場所で生活を再建できるよう、政府の支援は欠かせない。土地の買い取り額や使用料、補償金などの指針もできるだけ早く示す必要がある。

建設が始まれば大型トラックが頻繁に往来する。こぼれた土で被曝(ひばく)しないか、道路の渋滞や騒音が増えないかと心配する住民もいる。国がきめ細かな対策をつくり、住民の疑念にひとつひとつ応えなければならない。

貯蔵を終えた汚染土の最終処分をどうするかも大きな課題だ。政府は「福島県を最終処分場にしない」と地元に約束し、法制化するという。一方で汚染土をどこに運んで最終処分するかは白紙の状態だ。「30年後の問題」と先送りにせず、最終処分をどうするか真剣に考えるべきだ。

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