2018年8月15日(水)

春秋

2014/7/26付
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 アイスランドを原産地とするカラフトシシャモがベトナムで加工され、最後は日本の消費者の胃袋に向かう。輸入された冷凍シシャモに殺鼠(さっそ)剤とみられる異物などが混入していたとされる事件は、普段の食生活を支える仕組みの一端をくっきりと映し出した印象がある。

▼グローバル・サプライチェーン。IT機器や自動車など、複雑な工程で作られる工業製品によく使われる言葉が、食料品にもあてはまるのだ。問題となった冷凍シシャモを輸入した山口県の会社によると、ベトナムで加工に携わっていたのは台湾資本。1匹のシシャモに、なんと多くの国名や地名がかかわっていることか。

▼冷凍シシャモの問題が明らかになる少し前には、日本マクドナルドやファミリーマートが中国から仕入れていた鶏肉に期限切れの疑いが浮上した。いまや日本人の食事は海外にどっぷりと依存している。結果、潜んでいるリスクが見えにくくなっているように感じる。もっとも、国産なら安心、と言い切れるわけでもない。

▼「地雷があちこちに埋め込まれた戦場として食料品店を見る」。米国の食肉汚染に関する調査報道でピュリツァー賞を受賞したマイケル・モス記者は、食品産業について書いた本の最後にこう記している(「フードトラップ」本間徳子訳)。最終的な選択権は消費者の手にある、とも。つらい気分でうなずかざるを得ない。

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