2019年3月26日(火)

春秋

2014/7/23付
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いまの広辞苑(第6版)が出たのは2008年だった。「ニート」「ラブラブ」「うざい」などなど約1万語を新たに収録して話題になったのだが、このときに入った言葉のひとつに「創生」がある。それまでの版に「創世」や「創成」はあっても「創生」はなかった。

▼バブル期に竹下登首相が「ふるさと創生」を唱え、全国約3000の市町村に一律1億円を配るという大盤振る舞いに及んだ。それをきっかけにこの語が広まり、のちに広辞苑にも登場となったのだろう。もともとは旧国土庁などが好んで使った言葉で、橋だ道路だハコモノだといった土建国家のにおいがしないでもない。

▼こんど安倍晋三首相が力を入れはじめた地方振興策の看板にも「創生」の文字が躍る。「まち・ひと・しごと創生本部」を設けて担当閣僚を置き、特産品開発の後押しなどにあたるという。かねて地方の疲弊は深刻だから対策の必要性は大いに認めるけれど、往年のバラマキ創生の繰り返しにならないか気になるところだ。

▼このところ内閣支持率はぱっとしない。来春には統一地方選がある。そんななかでにわかに浮かび上がった戦略だけに、どうしたって色眼鏡で見られよう。何兆円の予算特別枠などと聞けばさっそく思惑の渦巻く列島なのだ。ちなみに創生の創の字には傷という意味もある。策を誤り、地方に新たな傷を生んではなるまい。

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