春秋

2014/7/22付
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これまで発行された紙幣で一番大きいのはどの国のものか。答えは中国だ。14世紀、明の時代の「大明通行宝鈔(しょう)」が最大とされる。A4判よりもひと回り大きい。世界の紙幣の変化をたどるお札と切手の博物館(東京・北区)の特別展で実物をみると、他を圧倒している。

▼縦長のこの紙幣は銭100枚の束が10個描かれている。お札の価値を示しているそうだ。朱色の大きな政府印も上下に2つ押され、それらを中国皇帝の象徴である竜の絵が囲む。清の時代も、弁当箱ほどもある大きさのお札が相次ぎ発行された。大国意識からか、お金にも存在感を誇示する姿勢が表れているようにみえる。

▼その後、お札の歴史は欧米が主役になった。産業革命で物の売買が盛んになり、紙幣の需要が急増。模様を複雑にするなど偽造防止も進歩した。第2次大戦後、貿易決済や金融取引に広く使われる基軸通貨は英ポンドから米ドルへ移る。その体制が固まった1944年のブレトンウッズ会議の合意からきょうで70年になる。

▼米国は世界の政治経済への影響力に陰りがみえるものの、ドルは今も基軸通貨の座にある。脅かす通貨はあるか。欧州ユーロもあるが、気になるのは急速に経済力をつけてきた中国の人民元だ。この国はもともとお札と縁が深い。材料の紙が発明され、木版や活字印刷の技が育ったのも中国。地力は侮れないかもしれない。

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