/

BRICSは世界秩序に貢献できるのか

中国やロシアなどBRICSと呼ばれる主要新興国がブラジルで首脳会議を開き、独自の開発銀行(新開銀)や緊急時に外貨を融通しあう共同積立基金の設立を決めた。新興国の力を結集し、国際社会での影響力を強める思惑だろうが、よりよい世界秩序をつくろうとする覚悟があるのか心配だ。

中ロにブラジル、インド、南アフリカを加えた5カ国で構成するBRICSは定期的に首脳会議を開いてきたが、これまでは実体に乏しい枠組みとの見方もあった。今回は具体的な連携策に踏み込んだ点で注目に値する。

とくに新開銀は当初の資本金を500億ドルとし、アジアやアフリカなど途上国のインフラ整備を支援するという。順調に設立されれば、途上国の資金不足を補ううえで建設的な役割を担えるかもしれない。ただ、資源確保など自らに都合のいいように活用しようとする中ロの姿勢が露骨に出てくる恐れは捨てきれない。

より懸念されるのは、第2次世界大戦後の金融秩序の枠組みであるブレトンウッズ体制への挑戦という政治的な思惑が見え隠れすることだ。

同体制の中核となる世界銀行や国際通貨基金(IMF)は、途上国支援を含めた金融秩序の形成と維持に大きな役割を果たしてきたが、意思決定を担ってきたのは主に米欧だ。経済的に台頭してきた新興国には先進国主導の体制への不満も根強い。

世界経済に占めるBRICSの比率はいまや2割に上る。世界の金融秩序を維持するうえで、新興国の声に耳を傾けるのは当然だ。米欧も新興国の出資比率を高め、発言権を強化することで、既存の国際金融機関を時代の変化に適合させていく必要があるだろう。

中国の習近平国家主席は新開銀の設立について、「国際金融の分野でBRICS諸国の発言権を高めるのに役立つ」と述べた。中国は独自のアジアインフラ投資銀行の創設準備も進めている。こうした動きが世銀やIMFの存在意義を低下させる狙いであれば、国際社会の信任は得られまい。

BRICS首脳会議は、国際政治の分野では「一方的な経済制裁を非難する」との文言を首脳宣言に盛り込んだ。ウクライナ問題でロシアを擁護し、米欧の制裁圧力を批判した格好だ。ご都合主義の枠組みのままでは、かえって国際秩序を乱しかねない。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連キーワード

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン