/

春秋

「命令を果たしただけだ。別のやり方があったかもしれないが……」。1983年9月、サハリン上空で大韓航空機を撃墜した旧ソ連軍機パイロットの言葉である。事件から30年の昨年、共同通信の取材にこの人は「私はこういう運命なのだ」と苦悩も口にしたという。

▼日本人28人を含め、269人が命を落としたあの悪夢の再来である。親ロシア派武装勢力との争いが続くウクライナ東部でマレーシア航空機が撃墜され、乗客乗員全員が亡くなった。撃ったのはどちらか、さっそく非難の応酬が始まっているが、きっと「命令を果たした」誰かがこの地域のどこかで息を潜めているだろう。

▼現場の凄絶な映像を見れば、旅客機は一瞬にして千々に砕けたのだとわかる。アムステルダムからクアラルンプールへ。飛行機には南国でのバカンスに向かう客もたくさん乗っていたようだ。真相を徹底的に究明しなければならないが、周辺は親ロ派が支配するだけに一筋縄でいきそうもないという。なんという不条理か。

▼それにしても、なぜまたマレーシア航空機なのか世界中が天を仰いでいよう。今年3月、南シナ海で消息をたった便のミステリーも解けていないのだ。思えばかの大韓機事件も航路逸脱の謎を残したまま現在に至る。ウクライナの空に散った298人のむごい運命を思い、すべてを白日の下にと祈りをこめずにいられない。

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

関連キーワード

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン