2019年3月26日(火)

春秋

2014/7/14付
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夜更けのコンビニエンスストアに常連客が集まり、仲良くお茶会を開く。山田太一さんの脚本で、30年近く前に放映されたテレビドラマ「深夜にようこそ」の印象的な場面だ。コンビニで働き始めた中年の男性店員が、マニュアルに縛られず新風を吹き込む物語だった。

▼駆け出し記者のころ流通業の経営者に、コンビニの秘める可能性としてこのドラマのことを話し、一笑に付された経験を思い出す。忙しい人が必要なものを手早く買って出る。そんなコンビニの基本も分かっていない記者と思われたかもしれない。時は流れ、現実のコンビニが山田さんの描いた姿にだんだん近づいてきた。

▼月刊誌「日経トレンディ」最新号が、繁盛店の店長を集めた覆面座談会を載せている。ある住宅街の店では、昨年から始めた「いれたてコーヒー」に固定客がついたという。近所に住む高齢の女性たちだ。今では午前中の店内は「高齢者のたまり場」となった。カップ片手に客同士が語り合う図は、先のドラマを思わせる。

▼セブンイレブンは店内の一画にテーブルとイスを並べ、買ったものをその場で食べられるよう工夫した店を相次ぎ開いている。必要なモノを日々売り買いする市場(いちば)は、もともと、近所のなじみ同士が顔を合わせ、言葉をかわす交友の場でもあった。効率を極めた現代の小売業が、商いの原点に戻りつつあるようにもみえる。

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