2019年3月26日(火)

春秋

2014/7/11付
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大学に電話した。記事を書くのに、某先生の肩書を確かめるためである。もちろん名乗ったうえだが、事務当局との話はこんな具合だった。「○×先生が在籍してらしたらご身分を教えてもらえますか」「お答えできません」「どうして」「個人情報にあたりますので」

▼大学教授の肩書がいったい個人情報にあたるのか、と気色ばんではいけない。そう自戒はしても、窮屈になる社会に疑問は感じた。が、こちらは正真正銘の個人情報である。ベネッセホールディングスが、通信教育などの顧客情報760万件が社外に漏れたと発表した。漏洩は最悪2070万件に上る可能性があるという。

▼通信教育、英語教室、子ども向けイベント。あらゆる手段で集めた個人情報は「宝の山」と称されるそうだ。子どもの生年月日を知れば、いつ、何を売り込めるか一目瞭然。教材だけではない。大人になってからも就職、結婚から果てはお墓の世話まで、言葉は悪いが、人に一生食らいついてまわることも可能なのである。

▼だからこその事件であり、憎むはまず情報を盗んだ犯人だが、ベネッセの管理に抜かりはなかったのかどうか。「常用字解」(白川静著)によれば、「漏」には「うしなう」の意味もある。秘密が漏れ信用を失う。これが情報管理をしくじった企業の避けられぬ道だろう。宝の山を扱って窮屈すぎるということなどはない。

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