2019年3月26日(火)

春秋

2014/7/9付
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英国では多くのことが駄目だが、していいことはしていい。フランスでは多くのことはしていいが、駄目なものは駄目。米国では駄目なことすらしていいが、ソ連では、していいことすら駄目である――。「民主主義の原則」という名の旧ソ連時代の小話なのだそうだ。

▼していいことすら駄目。その最たるものは体制の批判だろう。なのに「わが国が、ソ連を手本にするよう東欧諸国に奨励した時代もありました。その結果はうまくいったとは言い難いものでした」と語って、東欧を傀儡(かいらい)国家の集まりに貶(おとし)めてきたソ連のやり方を否定したのが、7日死去したシェワルナゼ元ソ連外相だった。

▼1989年5月10日。ベルリンの壁が壊される半年前の米ソ外相会談での発言を、ベーカー元米国務長官は「初めて聞く高官の東欧政策批判」への驚きとともに回顧録に書き残した。シェワルナゼ氏が担ったペレストロイカ(改革)が91年末のソ連崩壊にまで突き進んだのは、ときに人知を超える歴史の疾走というべきか。

▼一方、シェワルナゼ氏の著書には「(自分の)外交政策に非があったというなら、国民がみずからの目でよその国の豊かさ、人間らしさを確かめる機会を得た、という点かもしれない」とあった。回想だからきれいごともある。それでも、皮肉にこもる「していいことは駄目ではないのだ」という信念は、あやまたず伝わる。

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