春秋

2014/7/5付
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「大人買い」という言葉がある。子どものころに欲しかった玩具付きのお菓子や漫画、プラモデル。こうしたものを、大人になってから一度に買い集める。カネにあかせて、ではあるけれど、趣味の範囲にとどまっていれば、目くじらを立てるようなことでもあるまい。

▼さてこちらは、「悪(あ)しき大人買いだ」と捜査幹部が指摘する話である。かつて若者をむしばんだ薬物汚染が、中高年層へと広がっている。覚醒剤事件で摘発された人のうち40歳以上の割合が増え、昨年は5割を超えた。若いころより自由に使えるお金が増えて、興味本位で薬物に手を出してしまうことが少なくないようだ。

▼覚醒剤を所持して逮捕された人気デュオ「CHAGE and ASKA」のASKA被告も56歳である。保釈でおよそ1カ月半ぶりに自由の身となり、「二度と同じあやまちをしないと決意しています」とのコメントを出した。若いころから第一線で活躍し続けた名声は失われたが、もちろんやり直せない年齢ではない。

▼事件の影響で、ASKA被告の音楽や映像作品は販売中止や回収の憂き目にあっている。被告のCDを大人買いしたいと思っても、今はかなわない。アーティストが逮捕され、素晴らしい作品までお蔵入りとなる。熱心なファンでなくとも納得しきれない。これもまた、覚醒剤の恐ろしい作用の一つということであろうか。

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