2019年3月26日(火)

春秋

2014/7/4付
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ネットを通じて、人の心を操作できるか。そんな狙いともとれる実験をこっそり行っていたとして、米フェイスブックが謝罪に追い込まれた。ネット企業と利用者の関係を考える好機だからだろうか、米欧の大手経済紙や通信社などが、事件の経緯を詳しく報じている。

▼69万人の会員を対象に、彼らのページに表示される友人などの投稿の一部を握りつぶしたそうだ。暗い内容の投稿をわざと減らし、明るい話題を目立たせたところ、会員自身の発言も前向きになった。逆に暗い話ばかり読まされた会員は後ろ向きになったという。悪いことという意識はなく、結果は科学専門誌に発表した。

▼その論文を利用者が見つけ批判が集まった。登録時に利用者が「同意」した規約にこうした利用法も盛り込んだはず、というのが会社側の言い分だ。しかし生命保険やパソコンと同様、同社の規約も素人目には長く、抽象的でわかりにくい。会社間の契約書とは違い、ふつう全部は読まないし、読んでも理解は難しかろう。

▼経営学者の高巌氏は、生活者と接する企業が大事にすべきは契約よりも信認関係だと説く。よくは分からないがこの会社なら、この店員なら、ひどいものは売るまい。そんな信頼感から私たちはふだんモノやサービスを選ぶ。世界に普及したネットサービス企業の社会的責任は既に大きい。人の心を知る経営を期待したい。

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