ドミソラ うかみ綾乃著 因縁の連鎖 予測不能の怪作

2014/7/3付
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(幻冬舎・1600円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

(幻冬舎・1600円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

良くも悪くも、出版社カラーの強烈に出たハード・ロマン。ハードの紋章は、主人公たちの宿命の卍(まんじ)絡みに関わっている。女二人男一人の「超」不協和な関係。

犯罪小説としてのストーリー性は薄いが、途中までは、予測不能の連続技だ。「厭(いや)ミス」の不快さたっぷり。といっても、彼らは、単純に割り切れる「厭な」キャラクターではない。

16年前の集団強姦事件の傷を引きずり、精神的な廃人と化した美女。容姿は対照の極致にありながら、精神をシンクロさせる醜女。かつての強姦犯の一人がテレビ俳優になるところから、破局の歯車がまわりだす。

美女は体験を小説に書き、被害感からの脱出を試みる。だが、体験から解放されるどころか、得たのは「二次被害」の連鎖だけだった。しかし――。その才能に震撼(しんかん)された男が一人だけいた。人生をほとんど捨てた中年の、隻眼の編集者。残った片目の視力も喪(うしな)われようとしている。

この男が、二人の女の宿命を取り結ぶ「悪魔」の役。ずいぶんと強引な話だと呆(あき)れるより先に、ページをめくる手が止まらなくなる。熱気とパワーで押し切った怪作だ。

★★★★

(評論家 野崎六助)

[日本経済新聞夕刊2014年7月2日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

ドミソラ

著者:うかみ 綾乃
出版:幻冬舎
価格:1,728円(税込み)

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