2018年1月20日(土)

ビッグデータの活用促す個人情報保護を

2014/6/21付
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 個人に関する情報をビッグデータとして活用する政府の制度案がまとまった。月内に大綱を公表し、来年の通常国会に個人情報保護法の改正案などを提出する。ビッグデータの活用は成長戦略の柱のひとつであり、プライバシー保護に十分配慮して進めてほしい。

 新制度案は内閣のIT総合戦略本部の検討会がまとめた。匿名化などの条件を満たすことで、個人の情報を本人の同意なしにビッグデータとして使えるようにする一方、プライバシー保護に関する指針作りや行政処分などを行う第三者機関の整備を盛り込んだ。

 政府が制度を改めるのは、情報共有を促すクラウド技術や携帯端末などの登場により、11年前に定めた個人情報保護法が実態に合わなくなってきたためだ。欧米でもビッグデータを活用する動きが加速しており、企業などが安心してデータを使えるようにする。

 新制度では個人の情報をどこまで保護するかという線引きが重要だ。政府は当初、顔認識データや位置情報、購買履歴などを新たに「準個人情報」と定義し利用を促そうとした。だが、こうした分野は技術革新で状況が変わるため、第三者機関に定義を委ねることにした。妥当な判断といえよう。

 行政機関や独立行政法人などにはそれぞれ別の個人情報保護法が定められており、個人情報の定義や情報開示の規定などが微妙に異なる点も問題だ。法改正ではこうした制度の違いについても整合性をとっていく必要がある。

 政府は新たに導入される社会保障と税の共通番号(マイナンバー)を使い、診療情報などもビッグデータとして分析し、医療費増大に歯止めをかけようとしている。そのためにも個人情報の利用条件を明確にすべきである。

 ビッグデータの活用を促すには消費者の理解も欠かせない。昨年には東日本旅客鉄道の電子乗車券情報をビッグデータとして活用する試みが利用者の反対で頓挫した。新制度ではビッグデータの利便性と安全性を、国民自身が納得できる環境作りが求められる。

 さらに海外のプライバシー保護制度との調和も必要だ。日本の制度は欧州から不十分と指摘されており、日本企業が現地で収集した顧客情報などを日本に持ち込めないといった問題がある。グローバル市場で日本企業が対等に競争できるようにするためにも、個人情報保護体系の見直しは重要だ。

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