2019年7月16日(火)

対話重視の原子力規制委に

2014/6/20付
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原子力規制委員会の新委員が国会の同意を経て決定した。

日本原子力学会元会長の田中知・東京大学教授と地質学者の石渡明・東北大学教授の2人が、9月に任期満了をむかえる元外交官の大島賢三委員、地震学者の島崎邦彦委員の後任となる。

福島第1原発事故を契機に、それまでの原子力安全規制の欠陥や無責任ぶりが明るみに出た。規制委員会はその反省にたち発足したが、規制に向けられる国民の視線には今も厳しいものがある。

改めて規制委に求めたい。

規制委の活動原則に「国内外の多様な意見に耳を傾け、孤立と独善を戒める」とある。原則の通り、対話をもっと大事にすべきだ。

規制委は国民の生命と環境を守るため厳しい規制基準を運用し、原発を安全に運転させる使命を負う。ただ100%の安全はなく事故のリスクは常に残る。

個々の原発の安全性がどこまで向上し、どれほどのリスクが残るのか。立地自治体や国民にわかりやすく伝え、住民が抱える心配にも耳を傾ける責任がある。

再稼働を目指す適合性確認審査で、電力会社は規制委への説明に追われ委員の顔色をうかがうありさまだ。原発を動かす事業者の振るまいとして心もとない。事業者の能力不足もあろうが、規制委と事業者間のコミュニケーション不足から円滑で建設的な運営ができていないためだ。

規制委は縦割りの体制を改めるべきだ。委員はそれぞれ活断層や放射線防護など受け持ちがあり、自ら原子力規制庁職員を率いて仕事にあたっている。これが委員会の視野を狭めてはいないか。委員会は一人ひとりがゼネラリストとして多角的な視点から議論を交わすことを通じ、一人だけでは困難な総合的な判断ができる。

日々の審査は規制庁に任せ、委員会は規制庁が下した判断を独自に吟味し可否を判断する役割に徹していくべきだ。規制庁という役所と一体化することも委員会の独立性を危うくする。

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