年金の安定へ即座に改革着手を(社説)

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2014/6/8付
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少子高齢化の中、厚生年金国民年金は将来どうなるのか。厚生労働省はこのほど、おおむね100年先までの公的年金の財政状況を検証し、結果を発表した。

それを見ると「今のままでは安心できない」と言わざるを得ない。ある程度意味のある年金を支給し続けるには、制度の改革が欠かせない。改革は国民や企業の痛みを伴うが、放置していては将来世代へのしわ寄せがひどくなるばかり。早急に着手すべきだ。

■楽観できない検証結果

公的年金は人口構成や経済環境に大きな影響を受けるが、それらは時代とともに変化する。そこで厚労省は5年ごとに、人口や経済の新たな前提を置いて将来を検証している。今回は経済について、中長期的に高成長が続くケースからマイナス成長となるケースまで、8通りの前提で試算した。

公的年金の支給水準は、モデル年金額が現役男性会社員の平均手取り収入に対してどの程度あるかという割合で示す。これを「所得代替率」という。モデル年金とは、平均収入で40年会社に勤めた夫と専業主婦の妻からなる世帯がもらう額をいう。

現時点での所得代替率は62.7%。検証結果によると、8通りの経済前提のうちの中間で標準的とみられるケースの場合、所得代替率は約30年かけて50.6%にまで下がって安定する。年金は約2割の目減りだ。

政府は所得代替率50%以上の維持を目標としているから、このシナリオなら目的を達することになる。しかし、ひと安心とはいかない。前提が楽観的なのだ。

今後10年で日本経済は急速に回復し、中長期的に物価は毎年1.2%、賃金は2.5%伸びるとする。年金積立金の運用利回りの見通しも5年前の検証の標準ケースよりわずかだが引き上げている。女性や高齢者の労働参加も大幅に増えると仮定する。

後で「あの通りにはいきませんでした」では信頼を損なう。より堅実な前提に重きを置くべきだとわたしたちは主張してきた。

女性らの労働参加も進まず中長期的にマイナス成長が続く最悪ケースでは、40年後の所得代替率は39%にまで下がりかねない。年金は今より4割ほど目減りすることになる。アベノミクスが功を奏すことを期待したくもなるが、厳しい未来も視野に入れ、改革を実施していく必要がある。

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