霧に橋を架ける キジ・ジョンスン著 未知の感性 呼び覚ます短編集

2014/6/5付
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(東京創元社・1700円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

(東京創元社・1700円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

まったく新しい角度から世界を眺める驚き。

それがSFの醍醐味であろう。この短編集では、未知の感性を発見する作品ばかり11編が収録されている。

表題作は、大河によってふたつに分断されている異世界の帝国が舞台。川といっても腐食性の濃霧が渦巻き、怪物も潜むため、特殊な航行技術を駆使する船のみが両岸の物流を担っていた。やがて技術者が派遣され、数年にわたる工事の末、両岸世界が橋で結ばれる。

前代未聞の橋の存在が異世界を大きく変えていくいきさつは、あたかも水力発電のダム工事を彷彿(ほうふつ)とさせるかもしれない。

世界を変える技術とそれをめぐる人間模様への考察が、深く鋭い。

壮大なスケールの中で苦闘するエンジニアの話も面白いが、未知のエイリアンに捕まった女性が言語を介さない性的な結合のコミュニケーションにまきこまれていく「スパー」や、一角獣と少女の残酷な運命を活写した「ポニー」など緻密で知的な思弁力に富む。

SF界のありとあらゆる文学賞を総ナメにしているだけあって、いずれもゆさぶられるような迫力。三角和代訳。

★★★★

(ファンタジー評論家 小谷真理)

[日本経済新聞夕刊2014年6月4日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

霧に橋を架ける (創元海外SF叢書)

著者:キジ・ジョンスン
出版:東京創元社
価格:1,836円(税込み)

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