2018年10月16日(火)

電力と違うガス自由化の課題

2014/5/26付
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経済産業省の委員会で、都市ガス市場を自由化する議論が進んでいる。電力の小売りを全面自由化する法案も国会で審議中だ。

業態の垣根を越えて競争を促すには、電力市場とガス市場の改革を歩調をあわせて進めることが重要だ。同時に忘れてはならないのは、電力と異なるガス事業固有の課題に配慮した制度設計である。

現在の制度では家庭向けの都市ガスは、地元のガス会社からしか買えない。電力と同じようにガスの小売りも全面自由化し、消費者の選択肢を広げることは大切だ。

ただし、電力会社が全国に10社であるのに対し、都市ガス会社は200以上ある。東京ガスや大阪ガスなど大手3社で全販売量の7割を占める一方、事業者の8割が従業員100人以下だ。すべてのガス会社が同じように自由化に対応できるのか、経営規模が極端に違うガス会社が同じ条件で競えるのか、見極めが必要だ。

保安対策も課題だ。住宅や工場でのガス漏れは、重大事故につながる恐れがある。様々な事業者が参入しても消費者が安全にガスを使えることが自由化の大前提だ。

現在はそれぞれの地域の都市ガス会社が保安の責任を負う。自由化後も、緊急事態への体制が整う既存ガス会社が、新規参入者の供給先を含めて保安業務を請け負う仕組みを考えるべきではないか。

インフラの整備も欠かせない。ガスのパイプラインは電力の送電線にあたる。競争を促すには、誰もが公平で安価に使える必要がある。問題は全国でガスをやりとりする体制が整っていないことだ。

国土面積のうち、都市ガスの供給地域は2割に満たない。隣接するガス会社どうしがつながっていない場所も多い。効率的にガスを届けるパイプライン網が必要だ。これを整備することが、ひいては災害時の安全対策にもなる。

パイプラインの建設には巨額の資金がかかる。自由化されると回収が計算できない投資では意欲はわきにくい。企業の投資を促す支援策を考えることも必要だろう。

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