2019年1月17日(木)

春秋

2014/5/21付
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「スーッと出て、パッと消えるのがスーパーだ」。1960年代、誕生したばかりのスーパーマーケットは、そう揶揄(やゆ)された。だが年を追って消費者に支持を広げ、トップランナーであるダイエーが三越から小売業として売上高日本一の座を奪う。1972年のことだ。

▼物価は上がって当たり前という時代、大量仕入れやセルフサービスで安値を実現したスーパーは、まさに消費者の味方だった。「小売りの輪」という米国発の学説がある。勢いのある小売業は安さを武器に、旧来の企業からシェアを奪う。その地位もまた、さらに新しいやり方で安売りする新興勢に奪われるという内容だ。

▼百貨店からスーパーへの交代は学説通りだ。そのスーパーも、町外れの大通りにできた衣料品や家電製品の専門店チェーンに安さで押されていく。しかし主力の食品部門では、日本育ちの伏兵が米学者の説をひっくり返した。時間を大事にする現代の消費者が、必ずしも安くはないコンビニエンスストアに流れ始めたのだ。

▼コンビニに押されたスーパー業界で経営統合や買収が相次ぐ。規模拡大を安売りに生かすだけでは、消費者は呼び戻せまい。例えば身近に食料品店がなく困っている高齢者は600万人以上と試算されている。コンビニの不得手な新鮮な野菜や魚を、足腰の弱い人たちにどう届けるか。挑戦のしがいがある課題ではないか。

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