光回線利用促すNTTの決断

2014/5/20付
保存
共有
印刷
その他

NTTが光回線の直接販売を見直し、他の通信会社などを通じた卸販売に切り替える。事実上の光回線開放にあたる戦略転換といえ、携帯電話各社はNTTの光回線とのセット割引などが可能になる。NTTの決断を評価したい。

新方針は先週の決算発表で鵜浦博夫社長が表明した。今夏までに卸価格を決め、年内にサービスを始める。NTTの光回線は東西地域会社が「フレッツ光」として消費者に直接販売してきたが、今後は競合相手の通信会社でも販売できるようになる。

NTTの方針転換の背景には通信環境の変化が見逃せない。「LTE」と呼ばれる高速無線技術が登場し、携帯電話網も光回線並みの通信速度になった。この結果、NTTの光回線契約数は約1800万件で伸び悩み、顧客の獲得が難しくなってきたからだ。

一方、KDDI(au)は光回線と携帯電話のセット割引で顧客を拡大。独占規制によりNTTの光回線とのセット割引が組めないNTTドコモには不満の声が多い。NTT東西としてはドコモ1社とだけ組むわけにもいかず、今回の措置になったともいえる。

今回の方針転換は東西会社には事業モデルの大きな転換となる。多額の販促費で光回線を自ら販売してきたが、今後は回線の保守や貸与が主体になる。民主党政権時代にNTTの光回線を分離し中立的なインフラ会社にすべきだという議論があったが、それに近い。

問題は卸価格の公平性をどう担保するかだ。価格はNTT東西との相対契約で決まるが、ドコモなどグループ企業を優遇するようなことがあってはならない。契約の自由に反しない範囲で行政も目を光らせておく必要があろう。

NTTが光回線を開放することで第三者による新しいサービスも生まれてくるに違いない。光回線と無線LANを組み合わせれば、家電製品やウエアラブル端末などもネットにつなげる。新方針が行政や医療、教育など様々な分野の情報化を促すことを期待したい。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]