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遺伝子検査の健全な普及策を

病気にかかる可能性などを簡単な検査で判定する遺伝子検査ビジネスが広がっている。なかには科学的根拠が薄弱で利用者の誤解を招きかねないサービスもある。

遺伝情報の活用は、これからの医療を大きく変える潜在力を秘める。適切な規制と健全な産業育成策の両立が求められる。

遺伝子検査ビジネスは、利用者が口内の粘膜などを採って事業者に送ると、含まれる遺伝子を調べ病気のリスクや体質を判定してくれる。運動や芸術の才能までわかるとするサービスもある。

経済産業省の研究会が当面は法的な規制はせず個人情報保護などを定めた業界の自主的なルールに委ねるとする報告書をまとめた。

遺伝子検査は技術革新による急成長が見込まれる。拙速な法規制はビジネスの芽を摘みかねない。法規制を見送った姿勢は理解できる。インターネットを介してサービスが提供される例も多く、国内だけの規制では効果的でない。

ただ検査の精度や限界について利用者に情報を十分に提供しない不適切なサービスが野放しになるのは望ましくない。糖尿病など多数の遺伝子が関わる病気のリスク判定は現状では難しく、才能は遺伝子だけでは見定めがたい。遺伝情報の正しい理解が十分に普及しておらず、一般の利用者と事業者の間には大きな情報格差がある。

利用者へのていねいな説明を含め、検査の質を保証しより高める努力なしに健全で競争力のある産業は育たない。米国では科学的根拠の薄い検査を規制する動きがある。正しい理解に基づくサービスを広げる責任は事業者にある。

将来的には遺伝情報は病気の治療や予防、生活習慣の改善に役立つと期待される。人間の全遺伝情報(ゲノム)を短時間、低価格で読み取る技術の実用化が間近とされ、遺伝情報の活用がこれからの医療では当たり前になる。

国民の健康増進と医療費の抑制のため検査ビジネスをどういかすのか、国として大局的な戦略をたてる議論も必要だ。

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