2018年1月22日(月)

法相は難民に冷たくないか

2014/5/17付
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 2013年に日本が難民と認定して保護を決めた人は前年より12人減って6人にとどまった。1997年以来16年ぶりの1桁だ。

 申請者の数は3260人と過去最高だったので、先進国のなかで際立って厳しいと指摘されてきた難民認定の基準がさらに厳格になったといえる。

 たとえば悲惨な内戦が続くシリアを逃れた人たちへの対応だ。欧米の多くの国がおおむね難民と認めているのに、日本はゼロだ。

 主要7カ国(G7)のほかの国では、毎年の難民認定者数は1000人を超えている。米国や英国のように万単位の国もある。日本は3桁も4桁も少ない。

 日本の門戸はなぜこうも狭いのか。政府は明快な説明をしていない。難民認定のあり方については国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)がガイドラインを出しているが、政府は「法的な拘束力を持つものではない」として事実上ないがしろにしている。

 最初の審査をする入国管理局が難民と認定しなかった人たちは不服なら再審査を受けられるが、そのための「第三者機関」である難民審査参与員という仕組みも十分に機能しているとは言い難い。

 特に13年は、参与員の多数による判断を谷垣禎一法相が初めて覆し、門戸を一層狭くした。政府は、法相が参与員の多数意見と異なる判断をしたことはない、と国際社会にアピールしてきたが、それは通用しなくなった。参与員については国連で独立性に疑念が寄せられたこともある。

 法務省は昨年から難民認定のあり方を見直す作業を進めているが、狙いは申請者の増加に対応した手続きの効率化にあるようだ。「難民鎖国」といった批判をはね返し、難民に温かい国にしようとする意欲は伝わってこない。

 国会は11年、世界の難民問題への取り組みでわが国が「主導的な役割を担う」との決意を表明した。谷垣氏が総裁を務めていた自民党も含む全会一致だった。言行不一致ではないか。

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