春秋

2014/5/13付
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たとえば交通事故で失った顔の骨をそっくりそのまま再現し、患部にぴたりとはめ込めば容貌は元通り――。夢のような話だが、じつはこれ、3Dプリンターを使った医療革命のなかでも実用化目前の技術だ。立体物を完璧にコピーする「印刷機」の威力を知らされる。

▼かくなる福音をもたらす道具も、ひとたび悪用されたら……とは当初から懸念されていたことだ。さまざまな武器をテロ組織などが量産できてしまう。カード情報を盗み取るスキミング機器も密造できる。精巧な偽ブランド商品だってこしらえられるだろう。人の心の正邪をくっきりと映し、形にあらわす新技術ではある。

▼心配していたとおり、邪心に満ちた使い手はやはり日本にもいた。3Dプリンターで作った拳銃を所持して逮捕された男は、かねて「銃を持つことは基本的人権」などとツイッターに書き込んでいたという。実弾製造も考えていたらしい。妄念というほかないが、こういう手合いはこの男だけではないだろうから恐ろしい。

▼だからしっかり規制しろという声が、あちこちから上がっている。たしかに対応を急がねばならないのだが、それでこの新技術の大いなる可能性を封じてしまうなら正が邪に屈する構図となろう。多くの使い手に罪はないのだ。よこしまな心の持ち主が操ればプリンターから魔物が現れて……。そんな機能はつかぬものか。

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