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法案を機に生殖医療の幅広い議論を

自民党のプロジェクトチームが生殖補助医療に関する法案をまとめ今国会に提出する。夫婦以外の第三者からの精子や卵子の提供による不妊治療や代理出産を、条件付きで認める内容だ。法案には課題が多いが、これを機に幅広い議論を促し、より望ましい制度づくりにつなげるべきだ。

法案は夫婦以外の第三者の精子や卵子を用いた人工授精や体外受精などを、「特別生殖補助医療」として法的な裏付けを与える。

また夫婦の受精卵で第三者の女性に出産してもらう代理出産について、妻が手術で子宮を摘出していた場合などに限って認める。

こうした医療は厚生労働相が基準に基づき認定した病院などで実施する。精子などの提供や代理出産は無償とする。精子提供などは匿名でできるが、提供者の情報は国の指定機関で管理し開示の必要が生じた時に備えるという。

自民党内での議論では、代理出産の是非と、子が出自を知る権利を担保する情報開示制度をつくるかどうかで、意見が割れた。この二点については修正案を秋の臨時国会に提出する方向という。

生殖補助医療を利用して子を持ちたいという夫婦の選択の道は閉ざすべきではない。しかし子どもの利益や母体の安全への配慮などから一定の規制は必要だ。

女性の体を出産の道具に利用する代理出産に抵抗感を持つ人は多いだろう。また子が遺伝上の親を知りたいと思うのは自然だが、匿名を条件に提供した側の事情にも配慮が要る。

日本産科婦人科学会は代理出産を禁止し第三者からの卵子提供にも慎重な姿勢だが、学会のガイドラインは強制力を持たない。厚労省の部会は2003年に法整備を求めたが、この10年間具体化しないまま、生殖補助医療を利用する夫婦が増え、子も生まれている。

「制度なき実態先行」を放置してはおけない。しかしこの法案を短兵急に生殖補助医療の「推進法」にするのも望ましくない。

夫婦や親子のあり方をめぐり国民の間には様々な意見がある。

私たちは研究目的の卵子提供や出生前診断などを含め、生殖医療に関わる包括的な基本ルールが必要だと主張してきた。

今回の法案を議論のスタート地点と考え、多様な意見を集約し、多くの人が納得できる社会的な規範に立脚した制度づくりへの一歩とすべきだ。

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