2019年1月20日(日)

働きながら子育てできる社会に

2014/5/5付
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「仕事と子育ての両立」が社会の大きなテーマになって久しい。女性の活躍推進のためにも少子化対策としても重要と指摘されながら、今なお壁が低くなったとはいえない。実現には何が必要か、「こどもの日」を機に考えたい。

両立支援のために、保育サービスを拡充することは大切だ。それと同時に、職場が変わっていくことも欠かせない。男女ともに働きながら子育てできるようにすることが、日本社会を活性化する力になる。官民あげて、今こそ取り組みを加速させるときだ。

欠かせぬ職場の改革

両立支援の大切さは、政府が1年前に成長戦略として女性の活躍を掲げたことで改めて浮き彫りになった。女性の就労は、将来の労働力不足を緩和するだけでない。多様な人材が活躍する職場は、より柔軟で新たな価値を生み出しやすくなる。

そのためには、クリアすべき条件がある。最大のカギは、企業が男性も含めた職場全体の改革に取り組むことだ。

これまで職場の両立支援といえば、ともすれば女性向けの人事施策として限定的にとらえられがちだった。育児休業や短時間勤務などの制度が整備されてきたが、利用の大半は女性だ。

しかし真の両立支援のためには、職場を土台部分から変えていくことが大切だ。業務の進め方を見直し、無駄な仕事を省き、長時間労働にメスを入れる。フレックスタイムや在宅勤務など、多様で柔軟な働き方を広げる。管理職の意識を変える。

やるべきことはたくさんある。決して女性だけの問題ではない。職場の誰もが改革の当事者だ。

一見、遠回りのように見えるかもしれない。しかしこうした土台があってこそ、働ける時間に制約がある人でも制度を適切に使いながら働き続け、力を発揮しやすい環境が整う。

土台の改革が伴わなければ、制度を利用しにくかったり、過度に制度に頼ったりというマイナス面が強く出てしまうだろう。

育児にもっと関わりたいという男性にとっては追い風になる。共働きの妻とうまく分担ができれば、女性の活躍を後押しすることにつながる。専業主婦家庭であっても、男性が育児に関わることで妻の負担が軽減されれば、子どもにもよい影響を与えるだろう。

高齢化に伴い、今後は仕事と介護の両立に直面する社員が増える。職場を土台から変えておくことは、この新たな課題への対策にもなりうる。

両立支援のもう1つの柱が行政による保育の拡充であることは、言うまでもない。

保育所に入りたくても入れない待機児童の数は、2013年4月の時点で都市部を中心に約2万3千人と、高い水準のままだ。民間企業の力も活用し、地域のニーズに合わせた様々な保育サービスをどう整備していくか、自治体は一層知恵を絞る必要がある。保育士不足への対策も着実に進めなければならない。

小学生の子どもを放課後に預かる学童保育を、もっと増やすことも大切だ。預け先がみつからず、親が仕事の量を減らしたり辞めたりしなければならなくなる。そんな「小1の壁」という言葉もあるほどだ。学校施設の有効活用などを考えてほしい。

再就職支援も大事に

むろん、共働きを選ぶかどうかはそれぞれの家庭の選択だ。しかし働きたいという気持ちがあるなら、それを阻む壁は低くする必要がある。子育てを機に家庭に入り、再就職先が見つからない女性は多い。再就職や学び直しの支援を充実させていくことは大切だ。

若い世代では、収入が少なく生活が安定しないために、そもそも結婚や出産に踏み切れないという人もいる。非正規社員も育児休業は可能だが、その条件は厳しい。若年層の就労支援に力を入れていくことも必要だ。

ここにきて、働きながらの子育てを後押しする制度改革も相次いでいる。15年度から待機児童解消などを目指した新しい子育て支援制度が始まる。消費税増税分から約7千億円が投じられる予定だ。

企業に子育て支援の行動計画づくりを求めた時限立法「次世代育成支援対策推進法」も、15年4月から10年間の延長が決まった。長時間労働の見直しなどが進むよう、実効性を高める必要がある。

働き方を変えることも、保育サービスの充実も、決して簡単なことではない。しかし子どもの健やかな育ちを支えるためにも、もはや一刻の猶予もない。

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