2019年2月19日(火)

タックスヘイヴン 橘玲著 大金巡り飛び交う謀略

2014/5/1付
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(幻冬舎・1700円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

(幻冬舎・1700円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

主な舞台はシンガポール。消えた一千億円を追って暗躍する男と女。ゼロの数が11個ある大金は、一般読者に現実感があるのかないのか……。蜃気楼(しんきろう)のようなビッグ・マネーの世界を案内してくれる怒涛(どとう)のサスペンスである。

扉の但(ただ)し書きには、この本はフィクションであり、作中の「脱税法をマネしてはいけない」と警告される。ベツの読み方(利用法)もある、ということですな。

主人公の一人は、現金の運び屋。兼、金融トラブル全般のフィクサー。正体不明に近い人物だが、紹介シーンの臨場感はなかなか。5億の札束(50キロの荷物)を海路で隣国に密輸出する。仮想空間を莫大な金が瞬間移動する時代に、まだ「原始的」な移動法に頼るマネー・ロンダリングの実例は、なぜか安心感に満ちている。

本編は、消えた金をめぐって、謎めいたプライベートバンカー、某ブラック企業の経営者、某大物政治家、フィクサー、マフィア、ダブルスパイ、現地警察、日本の公安などが入り乱れる趣向。

主人公三人組の「遅れた青春」の哀歌が、殺伐とした謀略世界を中和してくれる。

★★★★

(評論家 野崎六助)

[日本経済新聞夕刊2014年4月30日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

タックスヘイヴン TAX HAVEN

著者:橘 玲
出版:幻冬舎
価格:1,836円(税込み)

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