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在宅介護に滋賀・守山モデルを(関西は今)

人生の最期は住み慣れた自宅で――。滋賀県民への意識調査でも5割近くがこう答えたが、実際は多くの人が病院で亡くなる。在宅での医療・介護を望む高齢者や家族を総合的に支える仕組みが不十分なためだ。そうした中、医療と介護を結び付けた支援作りを進める同県の守山市の取り組みが注目を集めている。

守山市は今月、在宅介護を行う住民を支える独自の専門組織を設けた

同市内に住むAさん。仕事をしながら、要介護認定を受ける両親の介護をこなす。認知症も患う父親の介護は6年に及ぶという。一時は入院していたが、昨年から在宅介護に切り替えた。1日3回訪問してくれるヘルパーが頼りだ。

Aさんのような住民を支える独自の専門組織として市は今年4月、地域のかかりつけ医の紹介や介護者・家族からの相談などに応じる「在宅医療・介護連携サポートセンター」を設けた。

副主治医を導入

在宅での医療・介護は家族の負担が重い。その軽減のため「かかりつけ医や看護師、薬剤師、ケアマネジャーらがチームを組み、高齢者や家族を支援する体制を整える」。宮本和宏市長は目指す姿を語る。新たなセンターはその司令塔の役割を担う。

守山市は琵琶湖の南に位置し人口約8万人。大阪市や京都市への通勤圏として住民は伸びているが、65歳以上の人口割合は約19%と上昇が続く。要介護認定者数も2014年2月時点で2498人と増えている。

市が在宅介護の体制づくりに乗り出したのは06年。団塊世代が25年から75歳以上の後期高齢者となり、「地域に合った見守りシステムが必要になる」と当時の市長が「在宅ケア推進検討会」を立ち上げた。

地元医師会や歯科医師会、薬剤師会のほか、看護・介護機関の代表らが参加。2年後に県立成人病センターと市民病院が加わり「保健と医療を考える会」に発展した。

しかし、市は組織の枠組みをつくるだけでは医療と介護の連携が進まないとみて、2カ月ごとに勉強会を開くなど関係者の意思疎通を重視した。その結果、「職種の壁を越え、連携の機運が生まれた」と市の地域包括支援センターの吉川与司一所長は語る。

医師1人で在宅医療を担うことは難しいことから主治医を補助する副主治医を置き、月額5000円の協力費を市が負担するアイデアもこうした議論から生まれた。

12年度は6人、13年度は3人を試験的に市民病院などから在宅へ移行。今年度から本格的に「在宅へのスムーズな移行を支援するモデル」(宮本市長)確立を目指す。

「みとり」も視野

市内では民間が在宅介護を整える動きもある。訪問看護・介護を手掛けるNPO法人、ゆうらいふは自宅で最期を迎える「在宅みとり」までを視野に、看護師や介護福祉士ら自前のスタッフでチームをつくる。ここ数年は毎年10件前後の在宅みとりがあるという。

在宅介護の定着には地域の協力も重要だ。「世話をする家族の愚痴を聞くだけでも支え」と市健康福祉部の木村芳次理事は語る。ゆうらいふの山田登喜子理事長は「守山市は持ち家率や自治会加入率が高く、地域コミュニティーが残ることが大きい」と説明する。

後期高齢者は全国で25年に約2200万人に達し、国も在宅医療の推進を打ち出す。医療費と介護給付費の削減につながれば市の財政負担も軽減される。滋賀県全体でも在宅での介護やみとりに力を入れる方針だ。老後も住みやすく安心な地域づくりへ、守山市の挑戦が一つの試金石となる。

(大津支局長 蓮田善郎)

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