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アジア地域の安定築く日豪EPA合意

安倍晋三首相とオーストラリアのアボット首相の首脳会談で、日豪経済連携協定(EPA)の締結が決まった。日本が豪州産牛肉の関税を引き下げ、豪州は日本車にかける5%の関税を撤廃する。互いに譲歩し、合意を築き上げた両政権の努力は評価に値する。

交渉の焦点は現行38.5%と高い日本の牛肉関税だった。加工用の冷凍牛肉を18年かけて半減し19.5%にするなど、大方の予想を上回る意欲的内容で決着した。

表面的な数字では日本側の譲歩が大きいように見えるが、実際には関税ゼロを求める国内の声を抑えて豪州側も妥協した。輸入が急増した場合に日本が輸入制限できる条項も盛り込まれている。日本の畜産農家への影響は、最小限に抑えることができるだろう。

豪州は日本市場で競合関係にある米国産牛肉より先に、関税削減の恩恵を受けられる。日豪合意に米国が焦りを抱き対日要求を緩めれば、膠着している環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の進展につながると期待できる。

2007年以来、難航し続けた日豪交渉の道のりから学ぶべき教訓は何か。国内経済の弱点に目を奪われて市場を守るだけでなく、それぞれの得意分野をいかす考え方の大切さではないか。

焦点の牛肉関税のほか、協定は投資の自由化、サービス市場の開放、鉱物・エネルギー資源の安定供給、知的財産権の保護、政府調達など多様な項目を網羅する。米国と同盟関係にある両国が経済の面でも補完し合い、互いに欠かせない存在となれば、アジア・太平洋全体の安定につながる。

これまで豪州は資源や農産物など1次産品の輸出で稼ぎ、中国市場への依存度が高かった。米国の金融緩和で豪ドルの通貨価値が相対的に高まり、その恩恵で対内投資を確保してきた面もある。

資源価格や米金融政策、中国景気の行方が不透明になるなかで、付加価値の高い産業を育てることはアボット政権の急務だ。高度な技術と豊かな資金、消費市場のある日本は、豪州の成長戦略に欠かせない連携相手となり得る。

東シナ海や南シナ海などの安定に向け、安全保障面でも協力の余地は大きい。日本の武器輸出三原則の見直しを踏まえ、防衛装備品の共同開発などの具体化を急ぐべきだ。海洋への拡張を図る中国に日豪が結束して責任ある行動を働きかけ、地域安定に貢献したい。

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