「新卒一括」採用は本当に効率的か

2014/4/7付
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大学生の就職活動がたけなわだ。採用活動を経団連の自主ルールにのっとって進める大手企業は4月から一斉に、4年生になった学生に筆記試験や面接を始めた。

こうした特定の時期に集中して学生を選考し、内定を出す新卒一括採用方式は、企業が採用コストを抑えられる効率的なやり方として定着してきた。

だが、この方式は、本当に効率的といえるのだろうか。ある時期に企業がこぞって選考活動をする結果、学生の取り合いは激しくなる。人材サービス大手、リクルートキャリアの調査によれば、実際の採用数が計画した人数に満たなかった企業は毎年4割近い。

一括採用方式では、学生はいったん選考に漏れると就職の機会が狭まってしまう。同時に企業もこの方式にとらわれ過ぎると、人材を十分に確保できない恐れがある。既卒者採用にも力を入れるなど、企業は採用活動を柔軟に変えていくべきだ。

今後、学生の取り合いは激しさを増す可能性がある。理由のひとつは企業業績の回復だ。企業の2015年春の採用計画をみると、14年春に続き採用数を増やす企業が多い。企業の競合は強まる。

2つ目は経団連が、この4月に3年生になった学生の採用から、選考試験の解禁時期を現在の4年の4月から8月に遅らせることだ。選考の開始が繰り下がることで、解禁後、必要な人数をこれまで以上に早めに確保しようとする企業が増えそうだ。

グローバル競争の激化で、企業の採用は学生の質を重視する傾向が強まっている。経済が右肩上がりで伸び、毎年、大量採用していた時期は一括採用方式が効率的だったが、「厳選採用」時代の今はその利点が薄れているといえる。企業は戦力になる人材を見極めて採る力を一段と問われている。

卒業論文、卒業研究で忙しく就職活動を始めるのが遅れた学生や、卒業後に留学した人を対象にした採用にも積極的に取り組むべきだ。人事部任せでなく、事業部門が直接、開発やマーケティングなどに携わる人材を採る方法もある。どんな人材が必要かは事業部門が一番わかっているからだ。

学生への企業の説明力も大事だ。具体的な仕事内容をはじめ、入社後はどのようにキャリアを積め、活躍の場が広がるかなどの情報を的確に伝えることが、優秀な学生を呼び込むには欠かせない。

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