2018年7月23日(月)

捕鯨の現実を見つめ直そう

2014/4/3付
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 南極海での日本の調査捕鯨は国際捕鯨取り締まり条約に違反するとして、国際司法裁判所は中止するよう命じた。実質的な商業捕鯨だとして中止を求めたオーストラリアの訴えをおおむね認めた。

 (1)鯨を殺さないで生態などを研究する方法を十分に模索していない(2)期限を設けていない(3)設定した捕獲枠と実際の捕獲数との食い違いについての説明が科学的ではない――。判決はこうした問題点を挙げて「科学研究目的」とはいえない、と断じた。

 日本の捕鯨政策は見直しを避けられない。南極海での調査捕鯨は当面、中止を余儀なくされる。再開を目指すなら、判決で指摘された問題点の改善が前提になる。

 北西太平洋での調査捕鯨は現時点で法的には問題ないが、南極海をめぐって指摘された問題点の改善が道義的にも、新たな提訴を避けるためにも求められる。

 より根の深い問題がある。調査捕鯨は捕獲した鯨の肉を売った収入を資金源としている。だが日本国内の消費は減っており、在庫は2012年平均で4586トンと、1999年の3倍に膨らんだ。調査捕鯨の収支は11年度に8億3400万円の赤字に陥った。

 政府は国際捕鯨委員会(IWC)が一時停止している商業捕鯨の再開を求める姿勢を変えていないが、現実問題として捕鯨事業に参入する企業は現れるだろうか。

 かつて捕鯨を担った水産大手はグローバル企業に変わり、海外消費者の反感を買うおそれのある事業に再参入するとは考えにくい。日本の伝統文化ともいえる沿岸捕鯨は別としても、抜本的な見直しを議論するときだろう。

 国際司法裁の裁判で日本が当事者となったのは今回が初めてだった。政府は敗れた原因を徹底的に検証しなければならない。

 「国際法秩序と法の支配を重視する」(菅義偉官房長官)との政府の基本姿勢は正しい。であればこそ、国際的な司法闘争で主張を通すのに何が必要なのか、教訓をくみ取る努力が欠かせない。

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