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春秋

知りたくもないことを学ぶのは苦痛である。どうせ身にはならないが、それでも記憶に焼きついてしまう一事があったりする。最近、あるハンガリー人に「先生同志! きょうもクラスに欠席はありません」というロシア語だけはいまだに忘れられないんだ、と聞いた。

▼旧ソ連が東欧を牛耳り、ロシア語を義務で教えていた冷戦下の学校では、授業の前に生徒がこう口をそろえたらしい。そう、人に「同志」と呼びかけるのが社会主義の決まりごとだったのだ。もっとも、きょうの同志があすには粛清されもする。「同志」はただの形式であるか、せいぜいが仲間を装った幻想なのであろう。

▼主要8カ国(G8)という仲間も結局は幻想の産物だったのか。ロシアが議長を務める6月のソチ・サミットをボイコットすると、他の7カ国の首脳が決めた。ロシアがクリミア半島でやってきたことは、武力をちらつかせて領土拡張を既成事実にする試み、とまとめられる。横紙破りを7カ国が認めないのは当然である。

▼オバマ米政権がロシア高官の海外資産を凍結する制裁を決めたとき、ロゴジン・ロシア副首相が「オバマ同志よ、海外資産がない場合はどうしよう」と皮肉ったそうだ。「同志」とは、大国意識をちらつかせた揶揄(やゆ)でもあったのだ。むろん、いまこちらから「プーチン同志」と呼びかける気はしない。事態が深刻に過ぎる。

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